Powder Snow 4 〜御曹司との恋〜

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剛典side







季節も そろそろ 秋の色合いを チラチラと見せる、そんな昼下がり。

会社のデスクで、書類の確認をしていると
健二郎が コーヒーを運んできてくれた。









「坊ちゃん、
良い報告と、悪い報告がございます。
どちらから お聞きになられますか？」




「良い報告だけ聞く。」









書類から顔を上げ、
ペン片手に頬杖をつきながら
健二郎を見上げた。









「今しがた、持ち腐れLINEに 興奮した兄貴から報告がきました。
純恋お嬢様が 寝返りに成功なさったそうです。」





「やーん♡可愛いーー♡
帰ったら 芸、見せてもらうー♡」








ちょっとちょっとー♡
いつの間に純恋ちゃんたら そんな技、出来るようになっちゃったのー？



ほんっと、可愛いんだからぁー♡
もう、たぁくん、メロメロぉー♡♡

なんでも買っちゃうー♡
ご褒美は何がいいかなー？




今頃、直人さん 会社で泣いてるんじゃなーい？
動画、送ってー！って姉ちゃんに電話してるかもー。









「てゆうか、『持ち腐れライン』って何？
なんか持ち腐れてんの？」




「………こちらの話ですので、気にしないでください。」






ふーん、って相槌をうちながら、
可愛い姪っ子の写真を眺め
コーヒーに口をつけた。




んふ♡癒される♡








「…それから、KYOKO MIHARAのショーが中止になりました。ショーモデルがボイコットしたようです。」






……………、








「……悪い報告は 聞かないって言っただろ。」







姪っ子の写真を閉じて、
カップをコトリ、デスクの上へ…








「………あの性格ですからね。
随分とキツイことを言ったようで、モデル達がショーに穴をあけました。」







………嘘だろ、
何、やってんだよ！









クシャリと前髪を掴んで、
天井を見上げた。









「………くそっ！不渡りが出る、」








ドン、と一度だけ デスクに拳を振り下ろし、
引っ掛けたジャケットをひったくり
部屋の扉へと向かう。









「行くよ、健二郎！」







嵐は、まだ過ぎ去ってはいなかった。









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