出来た子にはご褒美を【黄】

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「また、来ましたなぁー」



揺れる荷台から街並みを眺めれば
一年前からさして変わらない景色に人が蠢いていた。





興行の日程は変わるものなのに
今年は珍しく丁度一年を迎える頃に再び町に戻ってきた。


「そうやな」




短く返すと隣に座る男は意味ありげに視線を投げてきたがおとなしくなった。



一年前のこの日。

約束を交わして街から去った。


もう覚えていないことを期待しつつも、確信に近く彼女はやってくると思っていた。


我ながら愚かだと思い返す。
冷静になればあれくらいの年齢の子相手に何度も躾をしてきたにもかかわらず、まるで己と同等かそれ以上の存在として彼女を扱っていた。




ここ一年でも、幾人ものまだ子供と言われる年齢の人間が目の前で、もしくは自ら見極め躾を施した。

隣のこの男に対してもなんの慈悲もなく定め、作り上げたというのに。


「あ、僕、やっと謹慎解けそうなんで見届けたら消えますね」


何を、とは言わないあたり、これまで生き残ってきただけはある。

他の団員は会話に注意を向けてはいないが聴こえる範囲内に密集している。
コソコソとしていれば怪しまれ、祖国の言葉を話そうものなら即刻通報されかねない。



安直な行動が命を簡単に攫っていく。

何も考えてなさそうに欠伸をしているこの男はそのことをよく知っているしそんなヘマはしない。当然といえば当然なのだが。


「今すぐでてってくれて構わんのやけどな」


そういうと
眉間にしわを寄せて口を尖らせた。



「ヤダ、冷たい」


その表情とは裏腹に眼光は面白くて仕方ないように光っていた。

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