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薮side
「侑李のバイタル測定終わった？」
「終わったけど、あんま数値よくない。」
ナース室に帰ってきた伊野尾から資料を受け取ると、記載された数値を見つめ項垂れる。
侑李の病状がよくない。
一言で言えばそうなのだが、それを片付けるには随分と思考を凝らさねばならぬ。
「咳はどう？」
「落ち着いてたよ。spo2は上がってきたし、酸素はとったよ。本人もとって欲しそうだったから。」
「了解。他に本人はなんか言ってた？」
「気分悪い、ドキドキするって。」
「脈拍早いからな。発作起こしてすぐだし。」
「取り敢えず一晩は急変も視野に入れて経過観察って感じ？」
「そうだな。取り敢えず定期的にバイタル測定を徹底して、数値をグラフ化してくれ。」
「りょーかい。」
のんびりとした声が耳を掠ると、伊野尾はふらりと自分のディスクに向かってしまう。
基本的に仕事には打ち込むタイプだが、人情があるかと言うとまた違う性質である伊野尾を扱うのは至難の技だ。
それでも根は優しいからか、面倒だと言う言葉を使うことはほとんどなかった。
「薮ちゃん侑李が急変！」
「は？」
バタバタと走ってきた雄也に顔を上げると、思わず顔を顰める。急変とは何事か。
「少量の吐血、それと胸痛を訴えてる。意識レベルははっきりしてるが、不整脈の兆しもある！」
「spo2は？」
「さっきまで安定してたけど、今は80台まで下がってる！とりあえず来てくれ！」
「伊野尾行くぞ」
「ん、わかった。」
バタバタとナース室を後にすると、ICUに入り看護師に囲まれ応急処置を受けていた侑李の元へと急ぐ。
酷い顔色に、早い呼吸。ぐったりとした体には力が入っておらず、枕元には鮮血がベットリと付着している。
いたい、いたい、掠れた声を出しながら必死に訴える姿にギュッと胸が痛んだ。
「酸素上げて！処置室の準備！胃カメラも用意しといて！」
短時間に2度の発作なんて心臓にかかる負担が大きすぎる。
侑李の意識がだんだんと遠のいていく中、必死に処置を続けていた。
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新道踏切(プロフ) - 面白くて一気読みしてしまいました！またの更新待っています(*^^*) (2020年12月4日 16時) (
レス) id: 7158c48a17 (このIDを非表示/違反報告)
ちる - すごくいい話ですね！期待してます！ (2020年3月8日 0時) (レス) id: 86380dcbb6 (このIDを非表示/違反報告)
みこ - ちねんさんのお話を検索してこちらの小説を見つけました。続きを楽しみにしています！ (2020年3月2日 16時) (レス) id: cf2ae7ce49 (このIDを非表示/違反報告)
はなん(プロフ) - 面白いお話ありがとうございます 続きを楽しみにしています！ (2020年2月26日 19時) (レス) id: 039a9f3787 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱむこ | 作成日時：2020年2月20日 21時
