16 ページ17
大貴side
「そっかそっか。大丈夫大丈夫。泣かなくても大丈夫だよ。そう思っちゃう時もあるよね。辛いもんね。侑李は嫌な子なんかじゃないよ。大丈夫。」
「だって、ボク、……」
泣き出してしまった侑李を慰めつつ、彼の発言にそうかそうかと府に落ち同時に納得する。
闘病に対して強いストレスを感じているのであろう侑李のことはカンファレンスでも話が出ていたらしいし、知ってはいたけれどこんな幼い子供に死んじゃいたいと思わせる原因はきっと色々な要因が重なったからだ。
侑李は悪くない。
誰も悪くはないのだ。
それでも、何かが拗れてすれ違ってしまったのかもしれない。
「これから治療頑張れなさそう?」
「……やりたく、ない、痛いことばっかだもん」
「そっかそっか。でも胸が苦しくなったり呼吸ができなくなったらもっと辛くなっちゃうのはわかるよね?」
「……その時ね、死んじゃうくらい苦しいの、だからこのまま死んじゃえるんだって思うの」
「そっか。侑李は早く楽になりたいんだね。辛いことから解放されて痛いこともしないで生活できるようにしたいんだよね?」
「……でも、そんなことできないもん、」
「そうかな。プロの腕にかかれば解決策を出してくれそうだけど。薮ちゃんに俺から相談してみるよ。完全に痛いことがなくなるかはわからないけど、少しでも緩和できるように治療法も変えられないか確認してみるね。」
「グス……ありがとう、」
鼻をすすってそう言った侑李をギュッと抱きしめる。
大丈夫、1人じゃないよ。苦しくてもみんながそばにいるからね。
そう伝えれば彼の瞳からはまた大粒の涙が溢れ始めていた。
225人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
新道踏切(プロフ) - 面白くて一気読みしてしまいました!またの更新待っています(*^^*) (2020年12月4日 16時) (レス) id: 7158c48a17 (このIDを非表示/違反報告)
ちる - すごくいい話ですね!期待してます! (2020年3月8日 0時) (レス) id: 86380dcbb6 (このIDを非表示/違反報告)
みこ - ちねんさんのお話を検索してこちらの小説を見つけました。続きを楽しみにしています! (2020年3月2日 16時) (レス) id: cf2ae7ce49 (このIDを非表示/違反報告)
はなん(プロフ) - 面白いお話ありがとうございます 続きを楽しみにしています! (2020年2月26日 19時) (レス) id: 039a9f3787 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ぱむこ | 作成日時:2020年2月20日 21時