第123話 ページ28
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紫宸殿を女官たちが血の気の失せた顔で行き交う。
劉輝は一つの扉の前で、紙のように白い顔をして佇んでいた。
部屋の中には、秀麗と____重傷で運ばれてきた静蘭がいた。
Aは____
名『私を、これ以上秀麗と同じ場所にいさせては駄目。だから……』
そう言ってまた苦しそうに目を閉じた彼女の言った通りに、藤華殿にいる。
どのくらい経ったのだろう、静かに部屋の扉が開き、藤華殿の方からも誰かが来る。
ハッと顔を上げた劉輝の前に、憔悴した侍医たちと藤家の者たち、それから宗太傅が現れた。
宗太傅は、劉輝を見ると一喝した。
宗「この…馬鹿弟子がっ!惚れた女一人守れんでどうするっ!!」
劉「宗太傅、陶老師。清…静蘭と、秀麗と、それから……Aは……」
陶老師は青ざめた顔のまま告げた。
陶「……衛士の方は…重傷ではありましたが。宗太傅のご尽力もありまして何とか持ち直しました」
陶「けれど……紅貴妃と…A様の方は……」
劉「なんだ!」
良くない報せだ____そう思ったけれど、聞かずにはいられなかった。
青ざめた顔のまま、陶老師は告げた。
陶「……主上のお手持ちの解毒薬____あれはおよそ万能の妙薬。あの薬を主上が紅貴妃に飲ませていらっしゃったおかげでほとんどの毒は中和されておりました」
陶「けれど……ただ一種類」
陶老師はうなだれた。
陶「わたくしの知らぬ毒がありました。藤家の者にも確認をしましたが、知りません。つまり解毒が……できません」
陶「今から毒素を調べ、どんなに上手く事が運んだとしても、解毒薬を作るまでに三日はかかります」
陶「紅貴妃様とA様の全身に毒が回りきるのは早くて半日……遅くて一日」
劉「な……んだと……?」
陶老師の言葉の意味を理解するのに、ずいぶん長いことかかった。
____Aの、命が____なんだというのだ。
なん、だと____。
劉「ふざけるなっ」
劉輝はほとんど反射的に叫んだ。
劉「ふざけるな!Aの命が……なんだと?なんだって揃えてやる。国中のどこからでも、どんな材料でも探してきてやる」
劉「だからとっとと部屋に戻ってさっさと毒を消してこい!」
陶「主上……」
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咲くや - 面白くて続きが気になります 更新頑張ってください。 (2021年4月30日 0時) (レス) id: 2369d330ed (このIDを非表示/違反報告)
フローラ(プロフ) - ラフェルさん、ありがとうございます!!更新できなくてすみません。時間が無かったり、学生として忙しかったりするので、なかなか出来ていないのが現状です。申し訳ありません!出来るだけ頑張ります。 (2020年6月22日 14時) (レス) id: 81545e79a5 (このIDを非表示/違反報告)
フローラ(プロフ) - すみません、分かりにくかったでしょうか?オチは決まっているので、お話が進むのをもう少し待っていただけると嬉しいです (2019年6月1日 8時) (レス) id: 36855b5a89 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ - オチは決まってるんでしょうか?なんだか先が見えなくてモヤモヤします。 (2019年6月1日 7時) (レス) id: e7610b422d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:フローラ | 作成日時:2019年4月20日 16時