第98話 ページ2
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霄「清苑公子か____」
霄太師の呟きに、茶太保は振り返った。
茶「どうした、いきなり」
もう数十年のつきあいになるため、茶太保は霄太師と宋太傅といるときだけは柔らかな口調が少しだけ変わる。
まるで若い時のままのように無造作に。
霄「……茶の、八年前の王位争いの時を覚えておるか?」
茶「忘れられるわけがなかろう」
霄「あの時、八家の中で紅藍藤三家だけは争いに加わらなかったとされているな」
茶「皮肉か、それは」
茶太保は苦笑いした。
茶家もかつて、前王の公子のうちの一人を擁立し、権力争いに加わった。
茶太保は当時そうした愚かな親族たちを止めようとしたが、権力という妄想にとりつかれた連中に道理や理性など何の意味もなかった。
あの時八家の中でも冷静に状況を見つめ、親族に決して手を出さぬよう厳命できたのは八家でも一、二を争う勢力をもつ紅藍藤三家だけだった。
茶家は茶太保自身が争いに加わらなかったことと、彼が先王のもとで立てた数々の功績のおかげでその後もある程度の権を許された。
現在の茶家はまさしく茶太保のおかげでもったといえる。
霄「あの時、実は藍家は流罪になっていた第二公子を擁立しようと、行方を捜していたらしい」
茶太保は目を丸くした。
茶「……あの頭の切れる藍家の当主たちがそんなこと考えるとは信じられんな」
霄「楸瑛殿の兄君たちはそんなこと考えんよ」
霄「考えたのは彼らでなく、じじいどもだ」
茶「ああ、老害とかいうやつか」
茶「歳をとると愚かなことを考えるからな」
霄「ヤなこと言うのう。わしらだって似たような歳じゃろが」
そして霄太師は渋面になる。
霄「そういえば清苑公子も頭の悪い外祖父のとばっちりを受けて流罪にされたか」
霄「あのA殿も泣いていたな」
霄「……落ちこむのう」
茶「お前はそんなことするほど馬鹿じゃなかろう」
茶「で?楸瑛殿の兄君たちはどうしたんだ?」
楸「ああ。老人の言は無下に扱うべきでないということで適当に捜索することにしたらしい」
楸「で、白羽の矢が立ったのは、宮仕えでふらふらしてた放蕩息子の楸瑛殿、と」
茶「……そういえばあの時は国試も数年中止になってたか。大混乱だったからな」
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咲くや - 面白くて続きが気になります 更新頑張ってください。 (2021年4月30日 0時) (レス) id: 2369d330ed (このIDを非表示/違反報告)
フローラ(プロフ) - ラフェルさん、ありがとうございます!!更新できなくてすみません。時間が無かったり、学生として忙しかったりするので、なかなか出来ていないのが現状です。申し訳ありません!出来るだけ頑張ります。 (2020年6月22日 14時) (レス) id: 81545e79a5 (このIDを非表示/違反報告)
フローラ(プロフ) - すみません、分かりにくかったでしょうか?オチは決まっているので、お話が進むのをもう少し待っていただけると嬉しいです (2019年6月1日 8時) (レス) id: 36855b5a89 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ - オチは決まってるんでしょうか?なんだか先が見えなくてモヤモヤします。 (2019年6月1日 7時) (レス) id: e7610b422d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:フローラ | 作成日時:2019年4月20日 16時