ずるくて賢い恋模様_sgi ページ32
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「須貝さん!!この前教わったんで電気物理取れましたよ!!」
「えっ、ほんと!?よかったじゃん!!」
新しく入ったライターのAは、工学部志望なのに物理が大の苦手らしい。
それこそ、ヤマが当たっていなければ一浪するところだったと苦笑いを浮かべていた。
ヤマが当たったってことだよね、お兄さんそれが信じられなかったよ。
そんな彼女だけど、勿論秀でる知識もあって。
新しい東大王候補生として出演したところを伊沢がスカウトしたって感じなんだけど。
何がすごいって彼女の知識量よ。
理転したって言っていたけど、それまで培っていた文系における知識は異常なんじゃないかって思わされるし。
何より理転して東大はいるってどういう脳の作りをしてるのか俺にはからっきしよ。
伊沢も彼女のそれには頭を抱えていた。
“俺が東大生の時に出会ってなくてよかったとすら思ったよね”と伊沢が苦笑いで言っていたのも俺にとっては記憶に新しい。
「あ、須貝さん!また物理聞いてもいいですか?」
「もちろん。Aは新品のスポンジみたいだからすぐ吸収してくれてお兄さんも嬉しいし教えがいがあるのよ」
そう言うと、彼女は照れくさそうに笑った。
「ほんとうに、物理はからっきしなんですよ」
“須貝さんなしでは何もできないですね”
そう言い放つAに今度は俺が照れてしまった。
「ほんと、Aはずるいんだから」
「何がですか?」
キョトンと首を傾げるAに今度はため息を吐きたくなる。
「お礼に今度ご飯作るんで家来てください」
「えっ、いいの?!」
俺の片思いであることは明らかなんだけど。
それでも、Aのこの無意識なずる賢さには勝てなかった。
“トキ”が終わるその時まで_k-chan→←トクベツになりたかった_kwkm
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