Another Story

友情の証に乾杯を＿hkr ページ6

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「結婚おめでとう！」

「ありがとう！！」



私の目の前には今日から苗字が変わる高校時代からの友人。



大学も同じ東京大学ということもあって、大学卒業後も何かと仲良くしていた。



文科二類を選択し、その後経済学部に進学した彼女は今では立派な日本銀行の社員だった。



「今日は大丈夫？旦那さん放っておいて」



私が聞くと、Aは“それがさー”と言って、身を乗り出してくる。

私もそれに思わず身を乗り出した。



「あいつ、光の大ファンなんだよ」

「えっ」



『 東大王 』のファンで、さらに私の大ファンらしいAの旦那さんは今日もついて行くとうるさかったらしい。



「だから、光と私の写真撮るってことで黙らせた」

「黙らせた、って」



高校時代と何一つ変わらない彼女に思わず苦笑いを浮かべ、私は携帯を取り出した。



「じゃあ、撮ろっか」

「お、ありがとう」



某アプリで自撮りをした後、彼女は“加工無しも撮ってもらおうよ”と言ってウエイターを呼び出した。



「ちょっ、自分で取ればいいのに」

「ふふっ、待っててって」



意味ありげに微笑む彼女を疑問に思いつつ、私はウエイターの到着を待った。



「お待たせ致しました」



そう言ってウエイターが持ってきたのは、小さな箱だった。



「光がいつもカバンにつけてくれてるって言うのは国際裁判の中継とかで知ってたよ」



思わずカバンに手を伸ばした。



「初めてのおそろいだからね」



彼女が小さく笑って、ウエイターから箱を受け取る。



「だから今度は、私がプレゼントする番」



渡された小さな箱の中には、ペアリング。



「“友情の証”」



ニヒルに笑う彼女に私も笑ってしまった。



「じゃあ、改めて」



赤ワインの入ったグラスを差し出すと、彼女も自分の手元にあるそれを手にする。



「友情の証に、乾杯」

「乾杯」



カツン、とグラスのぶつかる音が響いた。

必要なのは君だから＿kwmr→←初めてのデートは＿ymmt

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