Accueil【伊沢拓司】 (ページ24)

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「福良さん、これ編集しておくね」

「えっ、いいの？」

先ほど上がった動画ファイルを読み込みながら私がそう言うと、福良さんは驚いたように私を見つめた。

「うん、任せて」

これでも東大工学部情報工学科映像処理専攻を卒業した身だ。

動画編集くらいできる。

「A、記事は？」

「それならさっき書き上げたよ」

“そっか、それならお願い”

笑みを浮かべた福良さんに私も微笑み返した。

私が事故に遭う前と変わらず、みんなのクイズの力は凄いし、いつか抜かれてしまうのではないかと思ってしまった。

「ねぇA」

「あっ、何？」

つけていたヘッドホンをさり気なく外されたので、そちらを見ると、拓司がボタンを私に渡した。

「クイズ、やろう」

その目は私をQK(ここ)に誘った時のそれと瓜二つで、相変わらずのクイズ馬鹿だなと苦笑いを浮かべてしまった。

「変わらないなぁ」

幾度となく彼女にクイズを理由に振られたのに、関係なくクイズを愛する彼を私も変わらず尊敬していた。

「時事問題はハンデすぎるから除外してある」

「どれだけ私とクイズしたかったのよ」

思わず声を出して笑いながら彼に尋ねると、彼も声を出して笑った。

「病室でクイズしようって言い出したくせに」

「それは暇だったから…！」

私が言い返しても、彼は変わらずニコニコと笑っている。

「…俺たちを繋げてくれたのはクイズだからさ」

その優しげな目に、私は頷くしかなかった。