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雨。なのに店にお客さんがどんどん来る。
店長に頼んで早めに上がらせてもらおうと思ってたのに、それでも客足が途絶えることがない。
同僚の笑顔が素敵な相葉ちゃんも、いつもと打って変わって忙しそうにバタバタしていた。
早く、早く。お店には申し訳ないけどお客さんもう来ないで。早く翔くんのところに行かないと。
心の焦りが顔にも出ていたのだろう。常連さんに、
「大野さん、用事でもあるの？」
と聞いてきた。あぁ、あるよ。大事な用事が。なんて言えるわけもなく、
「いえ、お客さんが多くて…。」
と返してみる。頑張ってねと言って店を去っていった。時計を見ると10時になるところだ。7時から開店しているのだが、この3時間の間で食パンが売り切れる。主婦って怖い。いや、そのパンを作っている店長_松潤も怖い。
「大野さん。いいよ？上がって。」
噂をすればなんとやら？松潤が声をかけてきた。
「え、でも店…。」
「大丈夫。ニノに手伝ってもらう。」
ああ、ニノ、ごめんよ。
また奢るから、それで許してくれ。
「じゃあごめん！ニノにまた奢るって伝えといて！」
「あいよ、気をつけてねー。」
「大ちゃんおつかれー！！」
相葉ちゃんの馬鹿でかい声を背に病院まで走る。
翔くんは今1人で戦ってるんだ、助けに行かないと。彼は強がりだからいつか壊れてしまう、泣いているかもしれない。
翔くんの病室に入る前に息を整える。
ああ、聞こえる。翔くんが泣いてる。
その声に俺まで泣きそうになる。ふぅっと深呼吸をしてはいる。
俺が入ってきたことに気づいてない翔くん。
うっと吐き気をこらえているのだろう。声をかけようとしたその瞬間。
「うっ…智く…」
呼んでいる。俺の名前を。俺を必要としてくれている。
「なぁに、翔くん。」
「え…。」
目を見開いてこちらを見つめてくる。もともと大きい目をしているからちょっと怖い。すると目に浮かんできた涙。
「智く、」
「ごめんね。遅かったね。」
「ありが、」
「ありがとうって言いたいんでしょ？良いよ、分かってる。翔くん、ちょっと休も？」
俺翔くんが言いたいことならなんだってわかるよ。
きっと「ありがとう。」の次は「ごめんね。」なんでしょ？悪いけど、「ごめんね。」は聞きたくないから。
翔くんを寝かせて、そのフワフワの髪を撫でた。次第に安心したのだろう、目がとろんってなって。
「疲れたもんね。おやすみ。」
彼の目が閉じられた途端に俺の目から涙が零れた。
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永遠-towa-(プロフ) - サさん» コメントありがとうございます！感動していただけたようで良かったです。こちらこそ読んでいただきありがとうございました！これからも頑張ります(o^^o) (2016年1月9日 13時) (
レス) id: 5f2ae027a5 (このIDを非表示/違反報告)
サ - 感動しました。素敵な作品をありがとうございます （；＿；） (2016年1月9日 1時) (レス) id: 60f39c76f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：永遠-towa- | 作者ホームページ：
作成日時：2015年12月6日 14時
