Aimer Ⅱ (ページ40)

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気を取り直してページ40

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『さっ、ご飯作ろう！』

「うわっ！」

Aは俺の髪の毛の刈り上げ部分を雑に撫でた。してやったりと言わんばかりにすり抜け、材料を整理し始めた。

玉ねぎに人参、じゃがいもと肉がエコバッグから取り出される。Aが辛いのがそこまで得意やないからカレールーは中辛にした。

Aは手に付けていた黒いゴムを口に挟み、セットされた髪の毛をほどいて無造作に1つ結びにする。うなじが白くて色気がある。つい見とれてしまった。

『ボーッとしとらんで、玉ねぎの皮むいて切って』

「はい」

テキパキしてる。まな板と包丁を準備したと思ったら、炊飯器の釜の中に米を入れ始めた。
俺も負けじと流し台の前に立って玉ねぎの皮をむくんやけど……

「……よう考えたら、何で俺が玉ねぎなん？」

『何となく』

「めっちゃ涙出てくる……」

目がヒリヒリして開けるのが精一杯だ。鼻もムズムズするし鼻水が出てきそう。

「なあ、A」

『ん？』

「どこまで皮むけばええの？」

『え……、っと、とりあえず白い所が見えるまで』

ありえへんって言いたげな瞳に物を申したい気持ちはある。1人暮らし始めたの去年からやし、自炊を勉強する暇がないくらいシーズン中は忙しいねんぞーって。

「あかん、涙止まらへん」

『頑張ってー』

でもAだって忙しいのに俺ができんのもおかしな話であって。

俺が四苦八苦する間にAは炊飯器のスイッチを押す。

『切るのはやるからとりあえず野菜の皮をむいて？』

「……おん」

俺はボロボロになりながら準備された2個をむいた。

『次は人参とじゃがいもね？
ピーラーがあるからしゃっしゃとお願いします』

「おん」

野菜を洗ったら急いでピーラーにかける。人参は2本、じゃがいもは3個。

『じゃがいもの根が出てるとこはこのピーラーの出っ張った部分で取り除いてね？』

時折助けを借りながら1つの料理を作る。Aは切りながら炒める作業までやってのけている。

『よし、できた……』

材料は全部炒められ、しばらくの間煮込む。

『遥輝、もうほとんどできたから待っといてええよ。手伝ってくれてありがとうね！』

俺はほとんど何にもしてへん。そう思いながらカウンター前の椅子に座った。

『またそこに座るん？』

「Aの手際がええねんもん。見てておもろい」