Aimer Ⅱ (ページ4)

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「プロ野球選手か！イッケメン！！」

澪の声が響く。

「だけど髪型がへんてこりんだね」

『ぷっ』

「澪、それはアシンメトリーだら……」

極端なツーブロックだけど西川選手は男前で顔がいいからよく似合っている。僕がやったらそれこそ本当にへんてこりんになるし、ブスに拍車がかかるから挑戦できない。

『あっはっはっ……、やばっ、言われてみれば変やなあっ……、ははっ』

「A、笑いすぎ」

Aは涙を流して笑っていた。この光景は西川選手にも見せられないな、と一考する。

『……でもね、そんな遥輝もええねん』

はあー、と深呼吸し、涙を拭ったAはゲラゲラ笑いから奥ゆかしく、柔らかい笑みを浮かべた。

『遥輝ってパッと見は派手やん？』

「うん」

『チャラそうだし、女とっかえつっかえして遊んでそうやん？』

否定はできない。モテるだろうし女を選び放題にも見える。

『実際チャラいで？身の振り方を分かってるし自信家やし、生意気やし多少強引なとこあるし』

でもね、と続けた言葉にハッとした。

『努力家で負けず嫌いで、有言実行で夢を叶えた中身もかっこいい人なの』

「うん」

『遥輝と同じ気持ちになれるかなんて分からんし、今の関係が1番過ごしやすいんちゃうかって思うけど、あの人がいいって思ってしまってる』

「うん」

『あいつにならかっさらってほしいし、攫われてもええかもって……、
ああ、もう恥ずかしい！終わり！！』

Aは真っ赤っかに染まった頬を両手で隠す。

「Aちゃん可愛いー！恋する乙女だ！」

『私思ったよりも好きやん……』

伏し目がちな大きな瞳。長いまつ毛にはブラウンのマスカラが絡まる。
Aを”南條A”に、1人の女の子に引き戻す。東海オンエアには決してなし得ない。

『はあ……、不覚やった……』

でもこんなに純粋で可愛い女の子を男達が見逃す訳がない。

きっと西川選手も同じだ。毎日電話をかけているのなら、それ相応に意識をしている。食いつきも良かったし気になっているはずだ。

本人には絶対に教えてあげないけど。

「Aちゃん、私応援しとるよ」

『へっ？』

「プロ野球はよく分からんけど、Aちゃんが好きになった人ならとってもいい人だと思うげえ！」

絶対に叶えてね、と澪はAの肩を揺らした。