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爽やかイケメンさんが気づいたのか、遥輝に手を振る。その後助手席の私に気づくと目を丸くして、可愛いさんの肩をバシバシ叩いている。可愛いさん痛そう。
「あいつら何しとんねん」
はよ乗ればええのに、と遥輝は苦笑いしながら車内から出て後部座席のドアを開ける。
「遥輝さん、何大切なこと隠してるんですか!」
「何がやねん、なんにも隠してへんやん」
「え、だってその方これでしょ?」
爽やかさんはニヤニヤして小指を立てる。
「ちゃうわ。同級生」
「智弁和歌山の?」
「いや、小学校中学校」
「へえー、札幌の街で再会してナンパ?」
「違うわ!」
人は見た目じゃ判断できない。爽やかさんは思っていたよりもうるさい。どことなく残念イケメンの匂いがする。若干関西訛りも入ってるし、恐らく関西のどっかの人なんだろう。
「ほら、雄也入れてへんし、Aも戸惑ってるからはよ入れ」
「はーい」
爽やかさん……、慎吾さんは私の真後ろに座る。雄也さんも無事に乗り込んだ所で、遥輝はハンドルを切った。
「遥輝さんの同級生さん初めまして、石川慎吾です!」
『こちらこそ初めまして。南條Aです』
「慎吾の圧がすごいから引いてるじゃん。谷口雄也です」
元気のいい慎吾さんに比べ、雄也さんは終始落ち着き払っている。何なら遥輝よりも落ち着いているくらいだ。
「遥輝の同級生なら、俺とも同い歳だよね?」
「そうやな」
「あの、Aちゃんって呼んでもいいですか?」
雄也さんは意外にガツガツ近づくスタンスらしい。男性にしては可愛らしい顔立ちで、おまけに小顔。その割にはプロ野球選手らしく肩に筋肉があってがっちりしている。
『いいですよ。私も雄也くんでいいですか?』
「うん! そこまで来たらタメで話そう!」
笑った顔まで可愛い。遥輝はどちらかというとガテン系だけど、雄也くんは癒し系だなあ。この人となら仲良くなれそうだ、と思っていたら、
「じゃあ俺もタメにする!」
爽やかさんが我を出してくる。
「アホか、お前後輩やろ!」
爽やかさんの猛アピールに遥輝が食ってかかれば、車内はうるささを増す。
「そうやけど! もしAちゃんが4月1日生まれやったら、そない歳変わりませんもん!」
『……何で私の誕生日知ってるんですか?』
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あおやなぎ(プロフ) - はるちゅんさん» ありがとうございます(^^) これからじゃんじゃん進めていくので楽しみにしていてください〜! (2019年9月1日 23時) (レス) id: c05e59e944 (このIDを非表示/違反報告)
はるちゅん(プロフ) - うおっ、最強!更新頑張ってください!お気に入りに入れます! (2019年9月1日 22時) (レス) id: 3445983938 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あおやなぎ | 作成日時:2019年8月29日 22時