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……乗っている車に目眩がした。目の前には相当稼いでいなければ乗れないであろう高級外車がある。
遥輝にとっては普通なのかもしれないけど、黒光りが威圧してきて足が竦む。いつも見ているのは赤のファンカーゴか茶色のミラココアなもんで……
『これに乗るん……？』
「そうやで？」
ほれ、と遥輝は助手席のドアを開ける。
『いやいや……、私後部座席に乗る』
「後ろは荷物乗るんやからこっち乗れ」
『じゃあスーツケースを助手席に……』
「何でスーツケースに相手してもらわなあかんねん！」
うーん……
遥輝は1歩も引く様子がない。いくら札幌の街が東京ほど大きくはないとはいえ、撮られてしもたら各方面に迷惑かかるんだよ？
「また余計なこと考えとる」
『いてっ』
ビシッ、とデコピンが額を直撃した。力が強かったせいでヒリヒリする。
「大丈夫やから。撮られたとしてもちゃんと否定すれば分かってもらえると思うし、グズグズせんと乗ればええねん」
私の気持ちを読み取ったように遥輝は苦笑いする。
俺はAとなら撮られてもええけど、と吐き捨てて遥輝は私のスーツケースを後部座席に積んで運転席に座った。
ちょっと待ってよ、それはどういう意味なん……？
「ほら、乗って」
急なことに頭が追いつかない。でも体は自然と動いていて、従順に助手席に座る。芳香剤のシトラスの匂いが鼻を掠めた。
「いこか」
『うん……』
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まさかこの車にAを乗せる日が来るなんて、夢でも見てんのかな。
「AってBIGBANG聴く？」
『あんまり聴かへんけど音楽は何でも聴ける』
「そっか」
言葉に甘えてBluetoothとスマホを繋ぎ、適当にBIGBANGを流す。そういえばAは昔、邦ロックが好きやったな。あと東京スカパラダイスオーケストラと嵐。
”フジファブリックいいよ！”
”スカパラのライブすごかったなあ……”
”遥輝、私道明寺みたいな彼氏が欲しい”
”そんなやつおるか！”
”分からんやん！ おるかもしれへんやん！！”
ありし日の俺らはこんなことを語っていたはずだ。
「なあ」
『ん？』
「Aってさ、……今でもスカパラ聴くん？」
無言が寂しくて会話を引き出したかった。
『聴いてるよ』
「……そうなんや」
話の内容よりも愛らしさに気を取られる。俺ってほんまに……
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あおやなぎ(プロフ) - はるちゅんさん» ありがとうございます(^^) これからじゃんじゃん進めていくので楽しみにしていてください〜！ (2019年9月1日 23時) (
レス) id: c05e59e944 (このIDを非表示/違反報告)
はるちゅん(プロフ) - うおっ、最強！更新頑張ってください！お気に入りに入れます！ (2019年9月1日 22時) (レス) id: 3445983938 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あおやなぎ
| 作成日時：2019年8月29日 22時
