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食事が終わる頃、タバコの箱はすっかり空になっていた。
『めっちゃ食べるしめっちゃ吸うし、野球選手すごすぎ……
こないタバコ吸う人初めて出会いました……』
「いや、最後のは遥輝ぐらいよ？ 将来体壊さんか心配」
最近は減ったんやけどな……
何かきっかけがあると止まらなくなってしまう。今日の場合は感傷に浸ってたのもあるんやろう。
「Aちゃんはこの後ホテルに帰ると？」
『はい！ 明日に備えて早めに寝ようかなあと』
「そっか。風邪引かんようにね？」
そろそろ行こうか、と卓さんが立ち上がる。Aも荷物をまとめ、コートを羽織って帰り支度がほぼ万端だ。
『遥輝ええからね。私の分は私で出す』
「いや大丈夫やで。お前の分ぐらい余裕で出せる」
『でも』
「ええからええから！ お前は気にせんと奢られとけ」
ここで思う。……俺、ちゃんと爪痕残せてたか、と。取材されただけで、奢っただけでAの心に残るような言動を取れてたか？
奢ってくれるヘビースモーカーとしか思われてへんよな、確実に。
会計を済ませて店外へ出る。
「俺はそろそろ行くけん、遥輝が責任持って送っていけよ」
「もちろんっす」
「……お持ち帰りだけはせんように」
「しませんよ！」
さすがにそんなことはせえへん。
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「なあ、もう1軒飲み行こうや」
卓さんを見送り、遥輝と2人きりになる。普段メンバーと2人になる機会は多いのに、あまり一緒にならない人とのそれには慣れない。
『え？』
「いや、さ、さっきは卓さんと話とったけどさ、俺も積もる話、したいやん？」
ネオンに照らされる遥輝は大人びて見えた。
『まあ……』
「よっしゃ、行こ！」
大きな掌が私の手を包む。日々の鍛錬で積み重なったあろうタコでゴツゴツしている。
『ねえ、手なんて繋いで撮られたりせえへんの？』
「大丈夫やろ。東京やないし」
『警戒心持って……』
「心配すんな！」
無邪気な笑顔や見た目のチャラさからは想像もできないほど、野球にストイックなのだろう。そうでないと続けられてないか。今も昔も変わらんな。
そんな彼と飲み屋を探しに、すすきのを練り歩く。
「……Aさ」
最中、遥輝が静かに口を開く。
「何でそないよそよそしくするん……？」
俺ら親友やったやろ。遥輝の手が強くなった。
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あおやなぎ(プロフ) - はるちゅんさん» ありがとうございます(^^) これからじゃんじゃん進めていくので楽しみにしていてください〜！ (2019年9月1日 23時) (
レス) id: c05e59e944 (このIDを非表示/違反報告)
はるちゅん(プロフ) - うおっ、最強！更新頑張ってください！お気に入りに入れます！ (2019年9月1日 22時) (レス) id: 3445983938 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あおやなぎ
| 作成日時：2019年8月29日 22時
