生存率19% ページ44
〜・〜・〜・〜
真っ暗な闇の中を進む。
僕のこめかみのLEDリングだけを頼りに、その暗闇を照らし道を探し当てる。
微かに、光が差し込んできた。
あともう少しだ。
だが、よく見ると分厚い壁から微かな光が差し込んでいるだけだった。壁には透明なタブレットがあり、文字を打ち込めるようだ。
その横には────
「Y 63222 -8@56 ou a:re a fo45o54l」
というメモが水にあおられて揺れている。これを解読すれば・・・!
トントン
ハワードが僕の肩を叩く。そうだ、彼は人間だ。水中に長時間いられるはずがない。
急がなくては。
・・・このメモにはアルファベットが複数ならんでいる。その他は適当な記号や数字。つまり、たどり着く答えは────。
「・・・・っ」
ピッピッ
「You are a fool」
タブレットに文字を打ち込む。どうだ。これで正解なのか?
・・・・──────。
ガーッと扉が開く。僕はハワードを振り返るが、彼はさっきいた所にはいず、10m深くへ沈んでしまっていた。
生存率:30%
僕は靴と上着を脱ぎ、10m先を泳いでいく。
警告:浸水シャットダウンの恐れ
ハワードを見捨てて陸に上がる:生存率:87%
ハワードを助けて陸に上がる:生存率:19%
「・・・・」
・・・・────────・・・────・・・・───────・・・。
□▫
□∴
▫◇
◇▫
ハワードを助けて陸に上がる:実行
「・・・ぷはっ!」
ハワードを抱えて陸に上がり、急いで彼の手と胸に手を当てて生きているかを確かめる。
脈動:異常あり
心肺:停止
心臓マッサージ:AEDによる蘇生が必要
「ハワード、僕の声が聞こえたら返事を」
僕は心臓マッサージをしながらハワードに訴えかける。未だに目を開かない。唇は少々青いが、まだ息はある。
心臓マッサージが効かない。
僕は自分の手を彼の心臓あたりに当て、手から強めの電流を流す。
「っ・・・カハッ!!!・・・ハァ・・・ハァ」
「ハワード、落ち着いて。息を吸って」
ハワードは落ち着きを取り戻し、深呼吸を始める。
脱ぎ捨てた上着が遠くに流れていく。これでは彼の体を温めることもできない。
「冷えきっている」
「・・・ハァ、ハァ・・・
気にしないでくれ。助かったよ」
なにか彼の体温を保温するアイテムはないだろうか。と、あたりを見回す。
「私は平気だ。君は?」
「問題ない」
「良かった。2人を探しに行こう」
僕は、すくっと立ち上がった彼の言葉に小さくうなずいた。
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クロユリ☆★(プロフ) - ここりどらすさん» わあ、嬉しいです!ありがとうございます(^^*) (2019年8月23日 1時) (レス) id: 0bca962c48 (このIDを非表示/違反報告)
ここりどらす(プロフ) - 好きです。8点入れさせていただきました。 (2019年8月22日 23時) (レス) id: af90c931db (このIDを非表示/違反報告)
クロユリ☆★(プロフ) - ぐうたら猫さん» ご報告ありがとうございます!これからも頑張ります! (2019年2月8日 18時) (レス) id: 0bca962c48 (このIDを非表示/違反報告)
ぐうたら猫(プロフ) - こんばんは。誤字があったので、ご報告します。『彼の感情』の後半、機械が機会になってました。修正と更新、頑張って下さい! (2019年2月8日 17時) (携帯から) (レス) id: e6816c78e0 (このIDを非表示/違反報告)
クロユリ☆★(プロフ) - 夜桜さん» わかりました!拝見させていただきますね! (2018年8月14日 19時) (レス) id: 0bca962c48 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クロユリ☆★ | 作成日時:2018年7月25日 13時