ドン・コネリーの矛盾 ページ41
〜・〜・〜・〜
壁一面にかけられた絵。あるものは顔の半分が笑っていて、もう片方は座った目をした虚ろな顔をした男の絵が。
「脳内に直接訴えかけてくる」
私が思わずそう漏らすと、ドンはフッと鼻で笑いその絵を横からのぞき込んできた。
「この絵には洗脳機能が？」
「至って普通の絵だ。行くぞ」
促すフーリッシュ。それに頷くドン。ドンに引っ張られる私。未だ険しい表情のハワード。
「表情筋は使いすぎると良くない」
子供のおつかい袋のように引きずられながら、私はそう忠告するも、彼の目にも耳にも届いていなかったのか、無言だ。
「・・・ドン、大ピンチだ」
「俺が引っ張ってる襟が破けた？」
「違う、それよりもっと一大事だ。マッドに嫌われたかもしれない」
「襟も十分一大事だろ。
あいつは俺と会った時からあんな顔だったぞ。 むしろああいう顔のヤツなのかと」
「いつもは違うんだよ。
もっと優しげで、とにかく紳士的」
「紳士も人間だ、なにか気に食わないことがあれば表情にも出るさ」
「私が何かやらかした？」
「お前は逆にあの表情の理由が自分以外の可能性を信じてないのか？」
「私以外考えられない」
「なぜ」
「結構前の話だが、私がオススメのカフェへ連れていったことがあるんだ。その代金は全部私が払ったんだが───」
「お前がやらかした証拠が何一つ見つからないぞ」
「ここからなんだ。
500円以上のものを食べたら無料でドーナツがひとつ貰えた。彼も払ってたら貰えたはずなのに独り占めに───」
「ドーナツひとつで人を嫌うような一寸法師5人が入ったら満員になるの器の小ささではないだろ」
「例えが日本昔話だぞ」
「俺が言いたいことは伝わった？」
「ダーツの真ん中くらい的確に」
「なら問題ないだろ。
とにかく冗談でも嫌われるなんてことはない。お前はいい奴だ」
「だが───」
「エージェントは敵のナワバリに入ると表情が険しくなりやすい、これで解決だろう？」
三日月に似た笑みを久しぶりに見れた喜びと、不安が入れ混じり、複雑な感情に襲われる。
彼に強く肩を組まれた私は"そうかな"と呟くしかなかった。
「不安なら直接話せば？」
「ああ、そうするよ。
君、アンドロイド会社の社長より相談会社の社長の方が向いてると思うんだが───」
「お断りだね。人の湿っけ話なんて聞くだけで拷問だ。子供番組の方がよっぽど面白い」
「・・・ふふっ」
この短時間で分かったことがある。
弟は反対言葉が多いが、兄は話すこととやっている事の矛盾が激しいのだ。
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クロユリ☆★(プロフ) - ここりどらすさん» わあ、嬉しいです！ありがとうございます(^^*) (2019年8月23日 1時) (
レス) id: 0bca962c48 (このIDを非表示/違反報告)
ここりどらす(プロフ) - 好きです。8点入れさせていただきました。 (2019年8月22日 23時) (レス) id: af90c931db (このIDを非表示/違反報告)
クロユリ☆★(プロフ) - ぐうたら猫さん» ご報告ありがとうございます！これからも頑張ります！ (2019年2月8日 18時) (レス) id: 0bca962c48 (このIDを非表示/違反報告)
ぐうたら猫(プロフ) - こんばんは。誤字があったので、ご報告します。『彼の感情』の後半、機械が機会になってました。修正と更新、頑張って下さい！ (2019年2月8日 17時) (携帯から) (レス) id: e6816c78e0 (このIDを非表示/違反報告)
クロユリ☆★(プロフ) - 夜桜さん» わかりました！拝見させていただきますね！ (2018年8月14日 19時) (レス) id: 0bca962c48 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：クロユリ☆★ | 作成日時：2018年7月25日 13時
