トラップ ページ39
〜・〜・〜・〜
鼓膜を破くような轟音と共に私たちに襲いかかってきたのは、やはり針壁。
一番前のフーリッシュに針が当たろうとしたその時、一時停止したように動かなくやった。針が彼の額の前でピタリと止まったのだ。
呆気にとられる私たちを横目に、フーリッシュは針壁の後ろに回り込み、何かをまじまじと見ていた。
「2036」
「なに?」
「特殊なインクで2035と書き込まれている。何かのヒントだ」
「彼女が言ってたトラップっていうのは謎解き?」
ため息混じりに、私は言う。
「地面を見てみろ」
フーリッシュの言う通りに、私たち一同は地面を見る。そこには、コンクリートが激しく削れたあとが。
「これは?」
「"通常"なら、針は扉をくぐって僕の頭を貫通し、全員を串刺しにしていたはず」
物騒すぎる回答に背筋が凍る。いや、でも待てよ。通常なら串刺しにされていたということは───
「・・・どういう事だ?」
「歓迎されてる」
それだけ言うと、フーリッシュは針壁をスルーし、地下の奥へ、奥へと進んでいった。
「・・・誰か解説お願いできる?」
ドンはいつの間に持っていたタピオカミルクティーをすすりながら言う。そして、私とドンは気づいていなかった。
ハワードが敵意に燃えた表情で、フーリッシュが消えた暗闇を見つめていたことを───
〜・〜・〜・〜
「ドン、リル。私の後ろに」
背後から響くように聞こえた声は、ハワードのものだった。彼は答えを得る前に私たちの前をゆき、武器を構える。
「危険地帯?」
「リルはドンを後ろへ。銃を構えて」
その声は、あの柔らかい優しげな声ではなく、何かに怒った、トーンの低い声だった。機嫌が悪いのか?私が何かしたか?
不安になりつつも、彼の言う通りに銃を構え、何かいるのかとあたりを警戒する。
この恐怖を紛らわすため、私はハワードに明るい口調で問いかけた。
「何かいる?魔改造された戦車とか、イカれた怪物とか、回避不可能の矢が飛んでくる?」
「それはトラップの二段階目」
「段階が?」
ドンが言う。
「フーリッシュについて行けば分かる」
ハワードはそう言い、先を行くフーリッシュを見た。名を呼ばれた彼はふと振り返り、また暗闇の先を見る。
「まるで洞窟。体が湿った空気で腐りそうだ。こんな最高な場所はないね」
ドンは、いつの間にか飲み終わっていたタピオカミルクティーの容器を乱暴に壁に叩きつけた。
すると足元が地震のようにグワンと揺れ、地面が割れ、割れた地面の先には燃え盛る青い炎が。
「・・・俺のせい?」
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クロユリ☆★(プロフ) - ここりどらすさん» わあ、嬉しいです!ありがとうございます(^^*) (2019年8月23日 1時) (レス) id: 0bca962c48 (このIDを非表示/違反報告)
ここりどらす(プロフ) - 好きです。8点入れさせていただきました。 (2019年8月22日 23時) (レス) id: af90c931db (このIDを非表示/違反報告)
クロユリ☆★(プロフ) - ぐうたら猫さん» ご報告ありがとうございます!これからも頑張ります! (2019年2月8日 18時) (レス) id: 0bca962c48 (このIDを非表示/違反報告)
ぐうたら猫(プロフ) - こんばんは。誤字があったので、ご報告します。『彼の感情』の後半、機械が機会になってました。修正と更新、頑張って下さい! (2019年2月8日 17時) (携帯から) (レス) id: e6816c78e0 (このIDを非表示/違反報告)
クロユリ☆★(プロフ) - 夜桜さん» わかりました!拝見させていただきますね! (2018年8月14日 19時) (レス) id: 0bca962c48 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クロユリ☆★ | 作成日時:2018年7月25日 13時