フランスへ ページ22
〜・〜・〜・〜
私とフーリッシュが同居生活を始めてから何ヶ月か経ったある日。
朝食を終えた直後、彼が突然目を軽く閉じ、頭のLEDが黄色、青と点滅し始めた。これは・・・どこか悪いのではないか。
心配になったので、私は彼の肩をそっとゆすってみた。
「フーリッシュ、大丈夫かい？」
「・・・問題ない。
メールを受け取っていただけだ」
「メール、誰から？」
「フランスの仕立て屋から」
「仕立て屋？」
私は飲んでいたココアを吹き出しかけた。フーリッシュは表情一つ変えず、取り乱す私に冷静に説明し始めた。
「どうやら仕立て屋の一人息子が謎の失踪を遂げたらしい。
メールの内容だと現場の窓はすべて閉まっていて、置き手紙も何も無いんだとか」
「それは大変じゃないか！」
私は叫んだ。けれどやっぱりフーリッシュは落ち着いていて、私に静かに告げた。
「明日の朝、出発しよう。荷造りは今日のうちに終わらせなければ」
「よ、よし分かった。
まずは着替えと非常食と水だな・・・あとは携帯と充電器・・・それと君の充電器も持っていかなくちゃな」
「充電器は結構だがなぜ非常食？」
「だってもし飛行機が墜落したらどうするつもりだ？水と食べ物がないとやっていけないだろう」
「第一墜落はしない。
僕が予約したのは99%安全な便だ、残念ながら非常食の出番はない」
「・・・でも念のため」
「お好きにどうぞ」
〜・〜・〜・〜
次の日、私たちはフーリッシュの予約した便に乗り込み、フランスへと向かった。
機内はとてもシンプルで、居心地のいい場所だった。
座席前にはテレビがあり、私はフランスに付くまでの時間をほとんどテレビで潰していた。
すると、とある人気番組が『P.R700』という型番のアンドロイドの話をし始め───
何か気になったのでそれを見続けていると、突然フーリッシュの写真が出てきた。
その写真にはフーリッシュと私が映っていて、どうやら事件を追って歩き回っていたところをメディアに撮られていたらしい。
全然気が付かなかった・・・。
その後番組は、新型『P.R700』がいかに有能か、AI評論家と論理立てていた。
「見てフーリッシュ、君のことが世界に知れ渡っているみたいだよ」
「僕には関係ない」
「人間の世界にとっては、テレビに出られるなんてとても光栄なことなんだぞ」
「人間は退屈だな
そんな事で舞い上がるなんて」
「はいはい、なんとでもいえ」
私は彼を軽くあしらい、テレビを消し、窓の外を見る。
厚い雲の間から、エッフェル塔が見えた。
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クロユリ☆★(プロフ) - ここりどらすさん» わあ、嬉しいです！ありがとうございます(^^*) (2019年8月23日 1時) (
レス) id: 0bca962c48 (このIDを非表示/違反報告)
ここりどらす(プロフ) - 好きです。8点入れさせていただきました。 (2019年8月22日 23時) (レス) id: af90c931db (このIDを非表示/違反報告)
クロユリ☆★(プロフ) - ぐうたら猫さん» ご報告ありがとうございます！これからも頑張ります！ (2019年2月8日 18時) (レス) id: 0bca962c48 (このIDを非表示/違反報告)
ぐうたら猫(プロフ) - こんばんは。誤字があったので、ご報告します。『彼の感情』の後半、機械が機会になってました。修正と更新、頑張って下さい！ (2019年2月8日 17時) (携帯から) (レス) id: e6816c78e0 (このIDを非表示/違反報告)
クロユリ☆★(プロフ) - 夜桜さん» わかりました！拝見させていただきますね！ (2018年8月14日 19時) (レス) id: 0bca962c48 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：クロユリ☆★ | 作成日時：2018年7月25日 13時
