１０ ページ10
「どうする？
ここに一人でおる？」
「・・・」
ぷるぷる、首を横に振ってる。
「なら決まりやな」
Aちゃんも、
前に進む、
言い訳が欲しいだけ。
そうやんな？
これしかなかった、嘘ついて、
持って来た毛布は一枚だけ。
付き添いの人の部屋は、
たった６畳ほどのスペース。
ブラインドしめて、
外の世界から、遮断された世界。
二人でベンチに座って、
毛布にくるまって、
温かいココア飲みながら、
いろんな話をする。
子供の頃んこと、
学生時代のこと、
けど、Aちゃんの青春の真ん中には、
いつもヤスが、
どーんと居座ってるから。
結果的に、
ヤスの話を延々と聞く羽目になる。
中学の時、ヤスが、
路上でギター弾いてる姿に惚れ込んで、
通いつめて見に行ってるうちに、
だんだん、顔見知りんなって、
仲良うなって。
あいつが仲間とバンド組んで、
ライブハウスに出るようになってからは、
追っかけの日々。
ヤスも、ファンの女の子たちの中で、
Aちゃんだけは特別扱いで、
そのうち、
バンド仲間にも、
俺の妹やて、
公言するようになったとか。
春は河原のシロツメクサの土手で、
四つ葉探し、
夏はボロアパートで二人、
ブルーハワイ味のかき氷作って、
秋は松ぼっくりやどんぐり拾って、
部屋に飾る雑貨作って、
(それも水没してしもて、悲しいとか)
冬は雪だるま作って、遊んで。
まるで終わりを知らんかのようなエピソードの数々、
カップルの思い出話にしか聞こえへんやろ。
「とにかくお金をかけない楽しみを追求するのに、
必死でした。
夏の台風や冬の大雪の日は、
老朽化したアパートが、
潰れるのが心配で、
二人で公民館に避難してた事もあります」
そない楽しそうに思い出語られても、複雑や。
元彼ちゃうけど、
元彼みたいなもんやん。
Aちゃんは、実際、
ヤスを男として、見てたわけやし。
ヤスの方も・・・
話聞く限り、
男目線から見たら、
途中からはもう、
惚れてたとかしか、思われへん。
これって、
たった今、
付き合い始めたばっかの彼氏に言う事？
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 544人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
yume.no.(プロフ) - うぅーーっ！！苦しいーーーっ！！こうなることはわかっていたけど、やっぱり切ない悲しいですね(;_;)こんな幸せから一転！foolさんのお話は引き込まれますね！書くのも辛くなりそうな展開なので無理されず！でも楽しみにしていますね♪ (2019年12月20日 1時) (
レス) id: 979f5b0d6b (このIDを非表示/違反報告)
まゆ☆まゆ(プロフ) - やっぱりfoolさんのお話は最高です！たくさん更新してくれて嬉しいです。これから更に切なくなっていくと思いますが続きを楽しみにしてます♪ (2019年12月19日 20時) (レス) id: 8a01f69d5a (このIDを非表示/違反報告)
ひ み さ(プロフ) - ここまでの甘々、楽しかったです…続きも楽しみにしてます♪ (2019年12月19日 17時) (レス) id: 6eb2ce4a4e (このIDを非表示/違反報告)
りり(プロフ) - そんな私の小言はどっかに置いといて下さい！！！続きハイパー楽しみにしてます＼(^o^)／ (2019年12月17日 23時) (レス) id: ac3afc1999 (このIDを非表示/違反報告)
りり(プロフ) - 更新嬉しくてすぐコメントしちゃいました笑♪実は勝手に挿入歌のように思ってる曲があるんだけど…宇多田ヒカルさんのPlay A Love Songなんですが…冬から春になる季節感やテンポ感が私の中でシンクロしてて…っていう勝手な感想でした笑 (2019年12月17日 22時) (レス) id: ac3afc1999 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：fool x他1人 | 作成日時：2019年10月23日 13時
