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「え・・・あれ、」


本気やったん?

嘘やろ。


確かに、


「私にしときなよ、この際。
同じ医者やし、
上手くやっていけると思わへん?」

そう、言われたには言われたけど。


あれは、飲みの席での、
たわ言っていうかさ、

その場の雰囲気の軽いのりやったって、

恵理本人が後から言うてたやん。


はっきり、俺を好きとは聞いてへんし。

俺も言うてなくて。


そのまま、雰囲気で、
ほんの数ヶ月だけ、
付き合うてたけど、

お互い研修医で、
多忙を極めて、
すれ違ってるうちに、
自然消滅。

すっかり友達に戻ってた。


「・・・好き。
もう嘘ついて、
親友のふりするん、疲れた。
忠義のそばにいたい。
彼女として」


涙声で言うた後、

恵理、

そっぽ向いて、
掌で目元覆ったけど、
背中が震えてて
泣いてんの、分かって。

動揺なんて、もんやない。

どうしたらええん?


「・・・ごめん。
全然、分かってなくて。
ほんまにごめんな。
けど、俺・・・」


Aちゃんが好きやねん。


理由なんか、分からへんけど。


人から見たら、

ええ大人が、
いっときの熱でしかない、
恋なんかに浮かれて、

あほな男やな、

思われるやろうけど。


探してた人に、
やっと会えた、って、

本気で思ってる。


「ごめん、私こそ。
勤務中に変なこと言うて。
帰るね。
彼女のことは内緒にしとくから。
診察室のベッド、使わせてあげたら」


恵理って、
女にしとくん勿体無いぐらい、
男気ある、ええヤツやねん。


男同士なら、良かったのに、て。

何回も思った。


「ごめん、帰る。
お疲れ様」


恵理が、俺の隣を素通りしてく。


ふわっと風が吹いて、
俺と同じ、薬品の匂いがした。


あったかい、日向のような香のする、
Aちゃんとは違う・・・




恵理の足音が消えてから、
ラーメン2つ手に、廊下に出たら、

Aちゃんが、
所在無げに、そこで、うろうろしてた。

さっきの恵理との会話、聞こえてたか、
少し不安になる。


「ごめん、お待たせ。
ちょっと途中で仕事入って、
ラーメン、伸びてしもたかも」

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yume.no.(プロフ) - うぅーーっ!!苦しいーーーっ!!こうなることはわかっていたけど、やっぱり切ない悲しいですね(;_;)こんな幸せから一転!foolさんのお話は引き込まれますね!書くのも辛くなりそうな展開なので無理されず!でも楽しみにしていますね♪ (2019年12月20日 1時) (レス) id: 979f5b0d6b (このIDを非表示/違反報告)
まゆ☆まゆ(プロフ) - やっぱりfoolさんのお話は最高です!たくさん更新してくれて嬉しいです。これから更に切なくなっていくと思いますが続きを楽しみにしてます♪ (2019年12月19日 20時) (レス) id: 8a01f69d5a (このIDを非表示/違反報告)
ひ み さ(プロフ) - ここまでの甘々、楽しかったです…続きも楽しみにしてます♪ (2019年12月19日 17時) (レス) id: 6eb2ce4a4e (このIDを非表示/違反報告)
りり(プロフ) - そんな私の小言はどっかに置いといて下さい!!!続きハイパー楽しみにしてます\(^o^)/ (2019年12月17日 23時) (レス) id: ac3afc1999 (このIDを非表示/違反報告)
りり(プロフ) - 更新嬉しくてすぐコメントしちゃいました笑♪実は勝手に挿入歌のように思ってる曲があるんだけど…宇多田ヒカルさんのPlay A Love Songなんですが…冬から春になる季節感やテンポ感が私の中でシンクロしてて…っていう勝手な感想でした笑 (2019年12月17日 22時) (レス) id: ac3afc1999 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:fool x他1人 | 作成日時:2019年10月23日 13時

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