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夢中なってもうてて・・・

Aちゃんが、顎引いて、
俺の腕を押して、逃げる。


その仕草と、


「た、だよし、くん。苦し、」


くぐもった声に、余計刺激される。

離れた途端に、寂しいて。


「ごめん、部屋まで我慢する」


軽く抱き寄せた時、

車の助手席の窓に、
ふっと人影が音もなく現れた。

車内を覗き込んでんのは、
例の灰色の作業着の男。


「うわっ」


思わず、声あげてもうて。

Aちゃんが、腕の中でビクッと震えた。


「忠義くん、どうしたの?」


「ううん、何でもない」


気付かへんように、

ぎゅっと、俺の胸に、
ちっちゃな頭、押し付ける。


作業着男は、
呆然と俺を見てて。


「・・・」


一言、何か呟いただけで、
駐車場から逃げるように、
走り去ってった。


・・・良かった。


遊園地帰りに見かけた日から、
一切姿、現さんなって安心してたのに。


あの男、さっきなんて言うたんやろう。

口の動き、早くて、分かれへんかった。






助手席に回って、ドアを開けて。

Aちゃんの手を引いて、
車から下ろす。

心配で仕方ないねん。


Aちゃんは、呑気に、


「漫画から抜け出してきた王子様みたい。
関西弁だけど」


ふふふって笑ってる。


マンションの裏口から入ったけど、
怪しい人影はなくて、
ほっとした。

エレベーター乗り込んだ瞬間に。


あの、作業着男の口の動きが、
蘇って・・・

はっきりと、頭の中で繋がった。


こいつ、ころしてやる。


いや、多分で、確証はないけど・・・


一刻もはよ、引っ越し先、見つけな。


信ちゃんに頼んで、

俺の病院の近くか、

いや、Aちゃんが働く予定の、
信ちゃんの会社のすぐそばにしてもらおう。


明日、警察で相談しよう。


黙り込んでる俺に、
Aちゃんが、不安そうな顔してる。

二つ上の階のボタン押したら。


「どうしたの?
違うよ、3階だよ?」


不思議そうに聞いてきた。


「そやったっけ?」


「いつも来てるのに、
なんで間違えるの?」


Aちゃんが、笑って、
3のボタン押そうとした手をつかまえて。

ぐいっと引き寄せて、キスをする。

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yume.no.(プロフ) - うぅーーっ!!苦しいーーーっ!!こうなることはわかっていたけど、やっぱり切ない悲しいですね(;_;)こんな幸せから一転!foolさんのお話は引き込まれますね!書くのも辛くなりそうな展開なので無理されず!でも楽しみにしていますね♪ (2019年12月20日 1時) (レス) id: 979f5b0d6b (このIDを非表示/違反報告)
まゆ☆まゆ(プロフ) - やっぱりfoolさんのお話は最高です!たくさん更新してくれて嬉しいです。これから更に切なくなっていくと思いますが続きを楽しみにしてます♪ (2019年12月19日 20時) (レス) id: 8a01f69d5a (このIDを非表示/違反報告)
ひ み さ(プロフ) - ここまでの甘々、楽しかったです…続きも楽しみにしてます♪ (2019年12月19日 17時) (レス) id: 6eb2ce4a4e (このIDを非表示/違反報告)
りり(プロフ) - そんな私の小言はどっかに置いといて下さい!!!続きハイパー楽しみにしてます\(^o^)/ (2019年12月17日 23時) (レス) id: ac3afc1999 (このIDを非表示/違反報告)
りり(プロフ) - 更新嬉しくてすぐコメントしちゃいました笑♪実は勝手に挿入歌のように思ってる曲があるんだけど…宇多田ヒカルさんのPlay A Love Songなんですが…冬から春になる季節感やテンポ感が私の中でシンクロしてて…っていう勝手な感想でした笑 (2019年12月17日 22時) (レス) id: ac3afc1999 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:fool x他1人 | 作成日時:2019年10月23日 13時

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