春色列車。２

彼氏に。１ ページ1

大倉side


お互いの肩にもたれ合って、
眠ってて。

はっと気付いたら、
もう、Aちゃんちの近くやった。


俺、先に寝てもうてた？よな？

だっさ・・・


遊園地なんて、
ひっさびさやったし、

思てたより、
ずっと楽しかったし。

つまり、はしゃぎ過ぎで、
疲れたっていう。

まるで子供や。


「Aちゃん、起き。
もう着くで」


ちいこい肩を揺らしたら、
うとうとしてたAちゃんが、
目を覚ました。


俺を見て、めっちゃ恥ずかしそうにしてる。


「私、寝てました？」


「うん。思いっきし。
よだれ垂らして、寝言言うてた」


「・・・ほんと？」


泣きそうな顔なってもうた。

まじ？

こないに、照れる？


「嘘やって」


「もお・・・
大倉さんて、本当に意地悪だ」


拗ねてんの、めっちゃ可愛ええな。



一緒に降りて、
駅前の駐車場に停めてた車で、
部屋まで送る。


はしゃいで乗り物制覇してたせいで、
予定よりだいぶ遅なってしもた。


「ごめんな、夕飯も一緒にしたかったのに。
当直、入ってて・・・」


これは、デートやなくてお礼や、
言い張ってたAちゃんも、

もう何も言わん。


俺と離れんの、
めっちゃ寂しそうやもん。

俺の読み、外れてへんよな？


その証拠に、
待ち合わせは、

部屋まで車で迎えに行くん、
断られたのに、

帰りは、
素直に助手席に乗ってくれた。


この雰囲気で、

仕切り直しの告白、
してもええかな。

その前に、次の約束、取り付けんのが、先？


大人やし、
ほんまは、

おやすみのキスぐらい、
してまいたいとこやけど。


Aちゃんにとっては、
ファーストキスやねんから、
大事にしたい。


・・・いや。


ヤスは、俺に、

兄貴代わりやて、
まるで免罪符のように言うてるけど、


もしかしたら、

二人、キスぐらい、
したことあるんかな。


Aちゃん、
ヤスには、甘えて、

ごく自然に腕組んだり、
手ぇ繋いだり、するねんもん。


そんな場面、
目にする度、

嫉妬で頭おかしいなりそうやねん。


遊園地でも、

ほんまは、

何回も、手ぇ繋ぎたいなって、
思ってたけど、

ヤスの顔が浮かんで、

出来へんかった。




ごちゃごちゃ邪念ばっかりの俺もやけど、
Aちゃんも、ずっと黙って、
俯いてる。


遊園地ではあんなにおしゃべりやったのに。

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