エピローグ ページ43
春の陽射しは、今年もやわらかかった。
列車の走る音、心地よい振動、アナウンスの声。
そのどれもを感じる度、まるで北斗が隣にいるような
そんな気がしてならない。
巡回に来た車掌さんは、俺を見つけると、あの日と変わらない眩しいほどの笑顔を見せてくれた。
「ご乗車ありがとうございます。車掌の森本です。
…菜の花畑、今年も満開ですよ」
「はい。…楽しみです」
列車は小さな駅に止まりながら、終着駅を目指して走る。
森本さんのアナウンスが車内に響いた後、
俺は四角い窓のキャンバスをじっと見つめた。
空の青と、草木の緑が、一瞬にして色を変える。
鮮やかな桜色と、眩しいほどの黄色い菜の花。
何度見ても、それは息を飲むような絶景だった。
目の前に広がる太陽の絨毯に、俺はまた惚れ惚れとした。
…この景色が、俺にとっても一番の記憶。
上書きをするのは、もう少しこの気持ちが癒えてからにすると決めたのだ。
「…とっても綺麗だね、ほくと」
そう呟いた刹那
風に揺れた黄色い菜の花が、クスッと照れて笑った気がした。
コンペイトウの砂時計__完
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 476人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
晴(プロフ) - 名前しずくさん» あとがきまで読んでくださったんですね(^^) 2人はこれからもお互いを想いやっているはずです…！ 長らくのご愛読、ありがとうございました！ (2021年10月5日 19時) (
レス) id: 924db004c7 (このIDを非表示/違反報告)
名前しずく(プロフ) - 金平糖を贈る意味がとっても素敵で、お話にも合っているなあと感じました。今までお疲れ様でした。 (2021年10月4日 9時) (レス) @page44 id: 0ac6e112f4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：晴 | 作成日時：2020年10月21日 20時
