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次に目を開けたら、夕方だった。
夕日が、優しく部屋に差し込んで
遠くでひぐらしの声が重なり合って響いている。
「ほーくと」
いつの間にか、抱き合うような形で眠っていた俺達。
君の名前をそっと呼んで、おでこにキスをする。
痛みから解放されてぐっすり眠る君に、俺はしばらく見惚れていた。
「…たぃが…？」
「ん。目さめたね」
暫くしてゆっくりと開かれた瞳は、俺を捉えると細くなって、
その奥には、そんな君に微笑み返す俺が映っている。
「どう？何か食べられそう？」
「…おさとう、」
「お砂糖？」
「あまい、の」
甘いものが食べたいと言う君。
しばらく考えて、俺は起き上がった。
テーブルの上のリュックサックから、色とりどりの小瓶を取り出す。
夕焼けのせいで、それは酷く美しく輝く。その光は、何度でも俺の心を奪った。
「金平糖。舌の上で転がしたら、きっと甘いよ」
頷く北斗の体を起こしてあげて、背中と壁の間にクッションを挟む。
君は上目遣いで俺を見て、何度かゆっくりと瞬きをした。
手のひらに何粒かの金平糖を出したら、ひとつ摘んで
そっと君の口の中へ__
「…甘い」
「おいし？」
「あまくて、おいしい」
「良かった。」
ピンク、黄緑、黄色に白。水色や紫にも染まった、星の欠片。
…君の記憶の欠片は、どうだろう。
俺は北斗の、生きている時間を彩ってあげられているだろうか。
手のひらを見つめていたら、君は小さく俺を呼ぶ。
「んっ？」
「もう一個ちょうだい」
「ふふ、自分で取りなよ」
「大我はうるさいなぁ…」
まるで贈り物を受け取ったみたいに。
北斗はそれを、舌の上で幸せそうに笑って転がした。
俺の大好きな、君の笑顔だ。
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晴(プロフ) - 名前しずくさん» あとがきまで読んでくださったんですね(^^) 2人はこれからもお互いを想いやっているはずです…！ 長らくのご愛読、ありがとうございました！ (2021年10月5日 19時) (
レス) id: 924db004c7 (このIDを非表示/違反報告)
名前しずく(プロフ) - 金平糖を贈る意味がとっても素敵で、お話にも合っているなあと感じました。今までお疲れ様でした。 (2021年10月4日 9時) (レス) @page44 id: 0ac6e112f4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：晴 | 作成日時：2020年10月21日 20時
