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売店はホテルの1階、ロビーの端に位置していた。
小さなホテルだから、チェックインカウンターにはホテルマンが1人。目が合って会釈をする。
売店のパンコーナーには、菓子パンや惣菜パンなど、たくさんの種類が売られていた。
食べやすそうなものを、とちぎりパンを手に取り籠に入れる。
それから自分の昼食には、トマトとバジルの冷製スパゲティを選んだ。
「ん、」
若い女性の店員に籠を預けた時、レジの前に手持ち花火が売られてあった。
そうか
……北斗と過ごす 最初で、
「合計291円です」
「…これも、ください」
…最後の夏だから。
手が震えて、視界が滲んでしまって、なんとか小銭を支払って売店を後にする。
ライターもバケツもないから、借りなきゃ。
そんな思いでカウンターに近づけば、明らかに様子のおかしい俺に、ホテルマンのその人は慌てた様子で近づいてきた。
「京本様、ご気分悪いですか」
「…ぃや…いや、」
「一度お座りになられた方がいいです、お荷物お持ちしますね」
ふらふらと視界が揺れたまま、ロビーの真ん中にあるソファに辿り着いて
吸い込まれるように座ると、思ったよりも息が上がっていた。
「これ使ってください」
そう言ってハンカチを手渡される。深い青色のそれで涙を拭くと、濡れた部分はもっと暗く発色した。
「ﾊｧ…ハァ…」
「今は誰もいませんから。少し休んでいった方がいいです」
「苦しそうだから。」
ホテルマンの田中さんはそう言って、俺の背中に手を当ててくれた。
宿泊を予約する時、車いすを使っていること、送迎車を手配したいことを電話で伝えた。
電話口と同じその声の主は、俺が泣き止むまでの間、ずっと黙っていてくれた。
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晴(プロフ) - 名前しずくさん» あとがきまで読んでくださったんですね(^^) 2人はこれからもお互いを想いやっているはずです…！ 長らくのご愛読、ありがとうございました！ (2021年10月5日 19時) (
レス) id: 924db004c7 (このIDを非表示/違反報告)
名前しずく(プロフ) - 金平糖を贈る意味がとっても素敵で、お話にも合っているなあと感じました。今までお疲れ様でした。 (2021年10月4日 9時) (レス) @page44 id: 0ac6e112f4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：晴 | 作成日時：2020年10月21日 20時
