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その日の夜 ベッドで眠っていた君が、
急にごそごそと動き出した。
テーブルでレシートの整理をしていた俺は、慌てて君に駆け寄って布団を剥ぐ。
「北斗、北斗？」
お腹を抱えて、君は震えていた。
額には脂汗が滲んでいて、顔をぎゅっと顰めている。
「ぃたい…っ、たいがっ…痛いっ」
「ほくとっ！待ってね、薬飲もうね、」
リュックサックの中から、お薬の入ったポーチを取り出す。痛みが和らがなくなったら飲む、と高地先生に言われていた鎮痛剤。ついに、手を出す時が来てしまった。
痛みで苦しそうな君の体を起こして、カプセルを一つ口に含ませる。冷やした水で流し込んで、もう一度体を倒してあげた。
「いたいっ…ぃたい…痛いのっ…」
「北斗、すぐ楽になるから。
痛いのは、もう少しだけだからね、」
どこが痛いのか訊いたら、全身 と答える君。
想像するだけで、心臓が張り裂けそうだった。こんな細い体で、体中の酷い痛みに耐えているなんて。
「たぃがぁっ…たいぁ…っ、」
「大丈夫、大丈夫だよ北斗。手握ってるから。
ここ病院じゃないよ、ひとりじゃないからね」
必死に君の体を撫でて、背中を優しく叩く。
生理的な涙が君の頬を伝うのを、何度も何度も拭う。
「ぅーっ……っ、」
「もうすこし。もう少しだけ。深呼吸しよう」
“頑張れ”それだけは言えなかった。もう、ずっとずっと頑張ってきてる。応援なんて出来なかった。俺はただ、君に寄り添って、一緒に涙を流した。
夜も深くなった頃、ようやく君の寝息が音を立てる。俺は怖くて、しばらくその手が離せなかった。
服用した鎮痛剤には副作用があって、吐き気や眠気が出てくると高地先生から説明があった。それを止めるお薬ももらってはいるものの、効果はあまり期待できない。
眠った君の頬を、指先で柔らかく撫でる。
こんな風に、君が静かに眠ることができるのも、あと数回なのかもしれない。
「ねえ、ほくと」
もしかしたら今日が、
旅の折り返し地点なのかな？___
「…俺の傍に、居てくれないの。…ほくと」
これからも、一緒にいたい。
俺の願いは、悲しいほどに儚くて
それは音もなく、夜空に消えてゆく気がした。
﹏﹏﹏
第二章完結です。
ここ迄のご愛読、ありがとうございます！
お陰様でお星様が赤色になりました。
第三章からも、引き続きよろしくお願いします(^^)
晴(@haru_ix)
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晴(プロフ) - 名前しずくさん» あとがきまで読んでくださったんですね(^^) 2人はこれからもお互いを想いやっているはずです…！ 長らくのご愛読、ありがとうございました！ (2021年10月5日 19時) (
レス) id: 924db004c7 (このIDを非表示/違反報告)
名前しずく(プロフ) - 金平糖を贈る意味がとっても素敵で、お話にも合っているなあと感じました。今までお疲れ様でした。 (2021年10月4日 9時) (レス) @page44 id: 0ac6e112f4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：晴 | 作成日時：2020年10月21日 20時
