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北斗と出会ったのは、近所の映画館。
こじんまりとした、お世辞にも広いとは言えないそこで、ひと昔前の洋画を上映すると耳にした。
お気に入りの舞台俳優さんが、端役で出演していることを知っていたから、このチャンスは逃せない、と足を運んだ 確か土曜日。
劇場に入って、後ろのほうの席を選んだ。
君が話しかけてきたのは、上映開始の15分前。
「あの、」
「…はいっ？」
「おひとり、ですか」
「そうですけど」
今思えば、北斗が見知らぬ人に話し掛けに行くのなんて 初めてだったんじゃないの。
相当、俺が魅力的に映っていたんだなっ、なんてね。
「僕も、です」
「…そ〜、ですか」
「あっ、いやっ、そう言われましてもですよね」
とか言いながら、
しれっと隣に座ってきたこと 忘れないよ？
劇場には他に、誰もいなかった。
無言も気まずいと思って、
俺だって得意じゃない初対面の人との会話を 広げようと必死になる。
「ここ、よく来るんですか？」
「はい、毎週末のように。」
こんな古臭いとこ。
「この雰囲気、好きなんですよね。レトロな感じ」
「…好きそう」
「あっ、よく言われます」
ちょっと滑舌弱そうな喋り方が可愛らしくて
君はなんだか、魅力的だった。
「…この映画、BLですよ」
「そうみたいですね」
「なんだか切なくて、好きなんですよね」
君は、まだ真っ暗のスクリーンを見つめる。
「……そうだ、お名前」
「あ、京本大我」
「松村北斗です」
ほくと。
舌に転がしてみたら、綺麗な響きに驚く。
どうしてか分からないけど 君も驚いた顔をする。
「急に呼び捨てなんてやめてくださいっ」
「えっ、ごめんなさい」
「いやそうじゃなくて」
なんか、毛糸を編み編みしているみたいな
変な会話に可笑しくなる。
可笑しくて、もう少し 話していたくなった。
「予定とかなければ、この後お茶どうですか。
ほら、映画の感想とか」
君は目をまぁるくして
ぱちぱち、瞬きする。
「っ、先に 言われちゃった」
「え？」
「お誘い、しようとしてました」
「ふふっ、…そんな気がしてました」
その映画の主人公が 街で出会った同性の彼に
恋に落ちたのを見て
どうしてか魅力的な君へのこの気持ちが
好き、であるということを知った。
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晴(プロフ) - 名前しずくさん» あとがきまで読んでくださったんですね(^^) 2人はこれからもお互いを想いやっているはずです…！ 長らくのご愛読、ありがとうございました！ (2021年10月5日 19時) (
レス) id: 924db004c7 (このIDを非表示/違反報告)
名前しずく(プロフ) - 金平糖を贈る意味がとっても素敵で、お話にも合っているなあと感じました。今までお疲れ様でした。 (2021年10月4日 9時) (レス) @page44 id: 0ac6e112f4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：晴 | 作成日時：2020年10月21日 20時
