第二章 ページ14
列車の揺れが心地よい。隣を見ると、北斗もゆらゆらと身を任せながら 気持ちよさそうな表情をしていた。
「本日はいずみ鉄道をご利用頂きまして、誠にありがとうございます。安全運行に努めます、いずみ鉄道の旅を、どうぞお楽しみください」
若い、男の人の声でそんなアナウンスの流れる車内。他に高齢のご夫婦が何組か乗っていた。平日なのもあって、家族連れは見当たらなかった。
「どこで降りよう。
全部の駅で降りてたら、疲れちゃうかな」
一日フリー乗車券を購入した。どの駅で何度降りても、その切符でまた列車に乗れるというもの。
「そうだね。ガイドブックに載ってるのだと…、このふたつの駅が人気みたい。それと昨日、終点の駅にお宿取ったよ」
「ふふ、ありがとう。」
北斗も俺も、こうやって旅行に行くこと自体久しぶりで。二人で見つめあっては、笑いあった。わくわくするね、とっても、って。
暫くして、車掌さんが巡回をしに来た。若くて、がっしりとした体型だった。笑顔で、お客さんひとりひとりと言葉を交わしてゆく。
俺たちの席にやってくると、その人は屈んで 白い歯を見せた。
「ご乗車ありがとうございます。車掌のモリモトです」
さっきのアナウンスと、同じ声だ。
名札には、【森本 慎太郎】と書かれてあった。
「お二人でご旅行ですか？」
「はい。菜の花が綺麗だって知って」
「ありがとうございます。今の季節は本当に綺麗なんですよ。楽しみにしていてくださいね」
そう言って森本さんは、俺の足元に畳んで置いてある車いすをちらりと見た。
「各駅、五分ほど停車致しますので。焦らないで、列車が止まりましてからお立ちくださいね。
僕また巡回に来ますから、降りられる時は仰ってください。スロープご用意します」
声掛けが暖かくて。君とふたりでお礼を言うと、
「いえいえ。他にも何かありましたら、お気軽にお声かけくださいね。」
と、森本さんは優しくそう言ってくれた。
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晴(プロフ) - 名前しずくさん» あとがきまで読んでくださったんですね(^^) 2人はこれからもお互いを想いやっているはずです…！ 長らくのご愛読、ありがとうございました！ (2021年10月5日 19時) (
レス) id: 924db004c7 (このIDを非表示/違反報告)
名前しずく(プロフ) - 金平糖を贈る意味がとっても素敵で、お話にも合っているなあと感じました。今までお疲れ様でした。 (2021年10月4日 9時) (レス) @page44 id: 0ac6e112f4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：晴 | 作成日時：2020年10月21日 20時
