21度目の人生 ページ25
あれから鬼ごっこという遊びもして、初めての経験ばかりを楽しみきった頃、空は赤く染まる夕刻時となっていた。
ここらへんの地域は鬼についての伝承が根付いているため、夕刻になれば皆が足早に帰路を歩む。
それはまたこの子らも然り。
寺近くで遊んでいたため、悲鳴嶼さんが子供らを迎えに来てくれていた。
私はその光景をぼーっと眺め、少し羨ましいなと思った。
前世ではきっと気づかなかったであろうこの感情は、今世の母と父のおかげで育まれた。
あの2人には感謝してもしきれない。
─もう、会えないけれど。
獪「おい、帰るぞ」
『あ、えっと…そうだね。またね!獪岳くん…』
私はこれから鬼を狩るという任務がある。
柱として、鬼殺隊として鬼による被害を少しでも無くすんだ。
イレギュラーな存在である私がひとり鬼殺隊にいることで一体でも多くの鬼を救い、鬼によって悲しむ人を無くす。
それはイレギュラーである私だからこそできること。
獪岳くんたちはこの物語の人物だ。
イレギュラーがない限り、この子達はそれぞれの敷かれた
そのレールの先が真っ暗闇な谷のそこに繋がっているとしても、だ。
だけど、それでも私は今この子達がとても羨ましい。
暖かい家族が、羨ましい。
獪「何言ってんだ?ほら、さっさと行くぞ!」
そう言って再び右手をとってみんなと共に同じ方向へ歩き始める獪岳くん。
『え…?』
獪「先生!こいつも一緒に帰っていいよな?」
そう言った獪岳の声に振り返る悲鳴嶼さん。
その体はアニメや漫画で見た時とは違い、ほっそりとしている。
悲「南無…勿論よいがその子供は迷い子か?」
『あ、いえ…私は……』
鬼殺隊です、そう正直に告げるべきなのだろうか。
でも、せっかく仲良くしてくれたこの子達は怖くて人を食べる存在である鬼を狩れる、鬼よりも強い私を怖がるんでは?
そしたらきっと、この子達は離れていってしまう?
『(やだなぁ…)…私は……』
獪「言いたくねぇなら言わなくていい。けど、俺はお前がどんな奴でも嫌わねぇよ」
その言葉は沈みかけた暗い気持ちに明かりをくれた。
『えへへ、ありがと。…私は鬼殺隊 幻柱 夢幻Aです。本日は任務がありますゆえここで失礼させて頂きます。皆様の日常を私が守らせてもらいますので、また遊んでくださいね!』
にこっと微笑んでから軽くなった足取りでその場を後にした──
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麗夜(プロフ) - 梅干し太郎さん» 好きですって言ってもらえてすごく嬉しいです!!はい!これからも頑張ってきますのでよろしくお願いします! (2020年5月12日 6時) (レス) id: da3d507f78 (このIDを非表示/違反報告)
梅干し太郎 - この作品好きです!頑張ってください! (2020年5月11日 17時) (レス) id: 15eefd5e4e (このIDを非表示/違反報告)
麗夜(プロフ) - 藍さん» はい!更新頑張ります!自分が書いた夢小説を面白いと言って貰えるのすごく嬉しいです!ありがとうございます (2020年5月4日 23時) (レス) id: da3d507f78 (このIDを非表示/違反報告)
藍 - 更新楽しみにしています!面白かったです!! (2020年5月4日 22時) (レス) id: fbeba8bbe8 (このIDを非表示/違反報告)
麗夜(プロフ) - スノームーンさん!!こちらの作品も読んで頂いてるとは…!!嬉しさの極みです!こちらの更新も頑張るので是非読んでください! (2020年4月30日 1時) (レス) id: da3d507f78 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:麗夜 | 作成日時:2020年4月16日 8時