▽20 ページ20
聞こえてきた足音で目を覚ました。
「……、寝ちゃってた」
どうやら、泣き疲れてそのまま眠ってしまったようだ。…子供かよ。ちょっと前の自分を思い出して苦笑いが零れる。
初めて見た薄桃色の花。…あれ、そういえば、あれはそのままで寝てしまって…。
先程聞こえた足音。ということは、ソクジンさん、帰ってきてる…！ようやく頭が回りはじめて、さーっと血の気が引く。
「ど、どこ…！？」
ソファから立ち上がって吐き出した花を探しても見つからない。嘘、なんで？夢だった？ううん、そんな訳ない。
『…Aちゃん？』
『っあ、オッパ…』
タイミングよくソクジンさんがリビングに入ってきて、起きた？と微笑んだ。
どうしよう、あの花、ソクジンさんに見つかって、怪しまれてしまったら。そんな不安を抱えつつ、素直すぎる私の心臓は、ソクジンさんの優しい笑顔を見てドキドキと激しく音を立てる。
『…？どうした？具合悪いの？』
『えっ、いやっ、大丈夫です…っ』
『そんな事言ったって、真っ青だよ』
風邪ひいた？なんて聞きながら、私に近づいて、そっとおでこに触れてきたソクジンさん。暖かい手のひらの感触がダイレクトにおでこに来て、そして目の前には身長を私に合わせてかがめてくれた、心配そうなソクジンさんの顔。キャパオーバー寸前で、一気に顔に熱が集まるのが分かる。
『……Aちゃん、今度は顔、真っ赤』
『…あ、う、』
どうしたらいいのか分からなくて、ソクジンさんから離れたくて。やんわりとソクジンさんの胸を押すと、そのまま腕を優しく掴まれた。
その時。
『っ…』
急に「それ」はやって来て、私は片手で口元を覆った。
『Aちゃん、？』
『っ、オッパ、手を離して…っ』
私の願いも虚しく、もう片方の手首はソクジンさんに握られたままだ。大丈夫？という声に返事をする余裕もなく、その場にしゃがみこんで咳き込む。
『っ、げほっ、』
そして、しゃがみこんだ私の足元に、一輪の薄桃色の花が落ちて。
ソクジンさんはそれを見て、驚いたように目を見開いた。
『………っ、ごめんなさい！』
勢いよくソクジンさんの腕を振り払って寝室の中に飛び込み、ドアを閉めた。
見られてしまった。バレてしまった。
「………どうしよう」
あまりの絶望感に、体の力が抜けて。
私はそのまま、床に座り込んだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 580人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
るめ(プロフ) - ミロさん» わわ！ミロさん！コメントありがとうございます〜！化石を発掘して頂いて幸せな限りです笑 こちらこそいつも素敵なお話をありがとうございます！コメント嬉しかったです^^* (2020年6月13日 14時) (
レス) id: c680f383ae (このIDを非表示/違反報告)
るめ(プロフ) - あやねさん» お読み頂きありがとうございます！そう言って頂けて幸せです。素敵なコメントをこちらこそありがとうございました！ (2020年6月13日 14時) (レス) id: c680f383ae (このIDを非表示/違反報告)
ミロ(プロフ) - 今更のコメント申し訳ありません。癒しのそくじんさんを探していたらここにたどり着きました。こういうちょっとファンタジー要素のあるお話大好きだなー素敵だなーと思ってたらるめさんでした。さすがです。素敵なお話をありがとうございました。 (2020年4月26日 1時) (レス) id: 5d7ae6ba18 (このIDを非表示/違反報告)
あやね - きゅんきゅんしました！とても素敵な小説で時間も忘れて読んでしまいました。ありがとうございます。お疲れ様でした！ (2019年9月23日 1時) (レス) id: 7d823bc9ce (このIDを非表示/違反報告)
るめ(プロフ) - あがしおんさん» あがしおん様、コメントありがとうございます！大好きな作品の作者様にそう言って頂けて本当に幸せです。いつもお話楽しく拝読させております…！素敵なコメントありがとうございました！ (2019年9月18日 15時) (レス) id: c680f383ae (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：るめ
| 作成日時：2019年9月14日 1時
