桜が降る夜は�� Doan ページ10
「4月の夜はまだちょっと肌寒いね」
「冬終わったばっかりやし、昼間の太陽は心地ええけどな〜」
サッカーボールを蹴りながら器用に河川敷を歩く律。
「よくボール見えるね、暗いのに」
「そんな暗い？普通やん」
街灯の少ない河川敷はそこそこ暗いけど。
部活終わりの帰り道、私達はよく2人で帰ることが多かった。
私はサッカー部のマネージャー。
高校入学と同時に関西に引っ越してきて一番最初にできた友達は私の少し前を歩く、堂安律だった。
席が前後だったのもあって、部活の提出用紙を目の前に悩む私に「サッカー部のマネージャー」とだけ言い残して去っていったのは今でも忘れない。
言われた通りに書いて出す私も私だけど。
高校2年生の春、律と出会って2年目の春。
同じクラスで同じ部活、お互い約束もしてないのに帰りは一緒。
周りからは付き合ってるのかと思われるほどの距離感だった。
私自身もこの関係は何なのだろうとたまに考える。
「堂安くん、けっこうタラシって噂だよ」
仲のいい友達からの噂話にも、本人から聞くまではあまり信じる気にもならなかった。
ボールを蹴る後ろ姿をぼんやり眺めていたら空からヒラヒラと桜の花びらが風に乗って流れてくる。
「桜散ってもうたなー」
「こないだ雨が降ったからね」
「俺けっこう桜好きやねんで、綺麗やし」
そう言って暗い空を見上げる、わずかな街灯の灯りが照らす横顔を私はずっと見ていたいと思った。
ふと、律がどこか遠いところに行ってしまいそうな気がして。
「ねぇ」
「んー？」
「……んーん、なんでもない」
この先その予感が当たるなんて思わなかったな。
高校2年生になってすぐ、律は有名なチームにスカウトされて部活に顔を出すことも少なかった。
同じクラスでも座席は離れて話す回数もだんだんと減っていったし、一緒に帰ったのも散る桜の花びらを一緒に見た日が最後だった。
卒業して数年、私はあの頃と変わらずあの街にいる。
桜が降る夜に河川敷に行ってしまうのは何かの呪いのようにも思えた。
テレビで見る律も、まるで違う誰かのように見えてしまう。
本当に遠くに行ってしまったんだと実感した。
生きる世界が私とはもう違うのだ。隣を歩いていたあの頃とは。
「……会いたいなぁ」
少し散り始めている桜を見上げる。
きっと私はあの後ろ姿に恋をしていたんだと思う。
気持ちを伝えなかったのは、遠く離れてしまう距離に耐えられないとどこかで感じていたから。
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りょー(プロフ) - 葉瑠さん» ありがとうございます！全然大丈夫ですよ🫶🏻暇なときに書いてくださると嬉しいです！ (2023年1月4日 15時) (
レス) id: 499d00a8f3 (このIDを非表示/違反報告)
葉瑠(プロフ) - りょーさん» はじめまして！板倉選手ですね！お時間いただくと思いますので気長にお待ちいただけたら嬉しいです…！ (2023年1月4日 11時) (レス) id: 392653f59f (このIDを非表示/違反報告)
りょー(プロフ) - はじめまして！4番の板倉選手のリクエスト可能でしょうか、？シチュエーションはなんでもかまいません！ (2023年1月4日 11時) (レス) id: 499d00a8f3 (このIDを非表示/違反報告)
葉瑠(プロフ) - マイメロディさん» お待たせしております！まずは田中選手のお話しを書いてみました！気に入ってもらえたらなによりです🙏他のリクエストもお待ちください☺️ (2023年1月4日 10時) (レス) id: 392653f59f (このIDを非表示/違反報告)
葉瑠(プロフ) - ひーな@キーテイちゃんさん» またよろしくお願いします☺️ (2022年12月29日 23時) (レス) id: 392653f59f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：葉瑠 | 作成日時：2022年12月7日 18時
