ソロしてたら出会いました。【BTS】 (ページ3)

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NM side

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一本のMVだった。
一本のMVが、すべてのきっかけだった。

俺が、”Fr“の……キム・Aさんの存在を知ったのも。
俺が、彼女の虜になったのも。
俺達全員が、彼女を知るのも。

可愛さを詰め込んだ愛くるしい彼女がいたかと思えば、一度瞬きをすれば、触れただけで怪我をしそうな鋭い魅力を放つクールな彼女がいて。かと思えば、一度見てしまえばもう目が離せない色気が溢れだす彼女もいて。

性別不詳、と言いたくもなる。
彼女は究極に女性らしく、またそうではないんだ。

もう今だって、彼女の歌を聞いて＿＿

『♪♪♪～～』

＿＿いや、聞こえてくるのか？

今は韓国内でも一番と言われるほど大きな音楽番組の収録前。彼女がいても、歌っていてもおかしくはない。
自分達の楽屋へ向かう足を止め、一番近くのドアに足を寄せる。

ああ、聞こえる、彼女の歌が。

ノックをして話しかけようかとも思ったが、彼女のこの歌が途切れてしまうのが何よりも惜しくてやめた。

『私が今生きているだけで、あなたが私を嫌うのならば』
『私はなおさら強く生きるわそれがあなたへの報復私が生きていくことがあなたへの報復』

強い歌詞に、儚い歌声。
このギャップがまた、より一層魅力を引き立てる。ああ、こんなにも素晴らしい歌を、俺は他に知らないんじゃないだろうか。

そうして聞き惚れているうちに、ついに彼女の歌は終わりを告げた。

静かだ。ドアは彼女の地声を通さないくらいには厚いらしい、もう目の前からは何の音も漏れては来ない。

もう帰ろうか、と思った瞬間だった、

『ふぅ……えっ』

小さいため息とともに、視界の壁がなくなって、そこに、

『あ……あの……？』

彼女がいたのは。

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