陸 ページ37
一頻り笑った後、治は哄笑を一旦止めた。「…今度は僕の番だね。ごめん。君で試すような真似をして。君を置いていくような真似をして。本当にごめんね」
彼が何を指して謝罪しているのかは、痛い程に判っていた。
「…君は佐々城に唆されてたんだろう？」
「例えそうだったにしろ、僕らは互いが欠けたら生きていけないだろう。…僕、君を裏切っちゃったんだ」
治の遣る瀬無い表情が私を雁字搦めに縛り付ける…。
「…私だって、君を裏切った。嘘を吐いて、君を遠ざけようとした」
大嫌い、なんて。嘘でも口にするべきでなかったのだ。
だって、云ったその時ですら、腕が引きちぎられるような思いだったんだから。心が張り裂けそうだったんだから。
「本当だ…私たち、どこまでも深く繋がっているんだな」
私は先程、自分の中の空洞を埋められたような心地がした。
それはきっと治も同じだった筈なのだ。
どちらか一方を遠ざけようとする行為は、一方を裏切る行為に同じ。
「…こんなところまでお揃いだなんて。でも身体の大きさまで似なくて良かったな」
だってこうしてAをすっぽりと抱き締められないからね！と治は再度私に抱きついた。私も苦笑交じりに抱き返す。
…きっと、切っ掛けはあの心中だった。あの行為は世間から後ろ指をさされるものだったに違いないけれど…それでもあれは今の私たちに必要な事だった。
あれで私たちは生まれ変わった。�犹笋燭銑瓩�生まれた。
二人の産声に気付く者など、この世界のどこにだっていやしないのだけれど。
「…そういえば、僕は君の�猖睨´瓩力辰睚垢�たいな」
私から少し上体を離して、治は対面した。そういえばそれもそうだろうな、と私は説明する事にした。あれだけ散々偉そうに云っておいて詳細を省くのは無しだろう。
「…本当に詳しい事は判らない。ただ、新庄の死の呪いや、いたずらっ子達の攻撃呪文が効きもしないのに当たりもしなかった。最初は只彼等の力量不足だとも思ってたが、新庄の呪文は本当に目と鼻の先で放たれた。それに…」
佐々城はあの時、『私が死体でも構わない』と云っていた。それなら私の姿を確認した時点で死の呪いを放つのが得策だった筈。それを敢えてしなかったのは、私に魔法をかけたところで意味がないと知っていたからに他ならない。
「校長は何か知っている風だった。私が開心術を使えと云っても、『使えない』と態々云った」
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サラ(プロフ) - しぇるふぃあ。さん» こんな細かい描写にも気づいて頂けるなんて物書き冥利につきます！消せませんよ、でもここでは説明し切れないので後日改めて説明させて頂きますね! (2018年12月13日 20時) (
レス) id: 4e09bde857 (このIDを非表示/違反報告)
サラ(プロフ) - しぇるふぃあ。さん» お久しぶりです。しぇるふぃあ。さん、すごく読んで頂いているようなのでとても嬉しいです、ありがとうございます。 (2018年12月13日 20時) (レス) id: 4e09bde857 (このIDを非表示/違反報告)
しぇるふぃあ。 - ところで夢主ちゃんは前世が国語教師なのですよね？だったら41pに出てくる安吾さんの名前は知ってるはず…と違和感を覚えました(・・?) はっもしや伏線？ネタバレに触れるようでしたらこのコメントはそっ消ししてくださいm(_ _)m これからも陰ながら応援してます!! (2018年12月13日 19時) (レス) id: a3aac3bf63 (このIDを非表示/違反報告)
しぇるふぃあ。 - お久しぶりです！しばらく顔を出せなかった間にすごく進んでて一気読み不可避でした…あんまり好きポインツ語るとコメ欄ネタバレになるので控えますが仲直り本当に良かったです(ネタバレ) (2018年12月13日 19時) (レス) id: a3aac3bf63 (このIDを非表示/違反報告)
サラ(プロフ) - 紫苑さん» 応援ありがとうございます!頑張らせていただきます！ (2018年12月2日 23時) (レス) id: 4e09bde857 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：サラ | 作成日時：2018年9月20日 12時
