オオカミ少年 ／ knsm ページ3
※ファンタジー風味
遠くから鳥のさえずりが聞こえる。カーテンを開けると眩しい朝日が小屋の中を照らす。朝の目覚めには太陽の光が一番。…にも関わらず、寝坊助さんがひとり。いや、一匹。
部屋の隅で丸くなる白い塊をぽんぽんと叩く。繰り返すうちにようやく目を覚ました彼は眠たそうに大きな口を開けて欠伸をした。
「おはよう！」
ぱちりとあった青色の瞳へ笑いかけると、白色の獣はまだ気怠そうに鳴くものだから私は思わず笑ってしまった。
＊
この白い狼？犬？のような(私は犬だと思っている)獣は一週間前、小屋の近くで見つけた。
それは、もう少しで日が暮れる時間だった。街からの帰り道、前脚から血を流しながら横たわっていたのを見つけたのが始まり。まるで銃弾が掠ったかのような痕だったから、もしかしたら近くの戦争の流れ弾が当たったのかもしれない。
私は、大きなその体をふらつきながらも小屋へと運び込んだ。
傷口を清潔にし、薬草で作った薬を塗り包帯で保護した。それから汚れた体をタオルで拭いた。夜になると熱も出したから、熱い体を冷やしすぎないようにタオルで拭く。それでもまだ意識は戻らない。
そうして二日後。ようやく目を覚ました。
最初は警戒心剥き出しで、ご飯も食べてくれない。でも日がたつほどに、少しずつ心が寄り添い始めたのがわかった。元から人懐っこい性格だったのか、飼い犬なのかわからないけど一週間たった今では、寄り添ってお昼寝してくれるまでは打ち解けてくれた。
父は生まれる前に、母は数年前にこの世を去って以来ずっとひとりだった私に、突然できた小さな家族。それは、言葉にできないほど暖かかった。
でも。飼い犬の可能性もあるし、野生なら怪我が治れば帰さなければならない。だから、名前はつけない。私は「君」と呼び続けている。
「その怪我が治ったら、君はちゃんと帰るんだよ？」
朝食を済ませた緩やかな午前。日の当たる場所に彼の背中を枕にして寝転がりながら、語り掛けた。すると、切なげに声を溢される。最近気づいたけど、本当に彼には言葉が届いているような気がしてならない。声だけじゃなくて、表情そのものが返事をしているように見えてしまうから。
これは寂しがっているのかな。私は体を起こして、綺麗な毛並みを撫でた。
「だめだよ。此処は戦争に近い土地だから」
だから、君は此処から出ていってね。晴れた空の様な瞳にそう、語った。
君は何も答えなかった。
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ももね(プロフ) - りんごさん» ありがとうございます！喜んでくださったようでうれしく思います。私自身も「お友達から始めませんか、」は特にお気に入りのお話でしたので続編を書くのはとても楽しかったです！この度はリクエストありがとうございました！ (2020年5月14日 22時) (
レス) id: 2fa0c60296 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - ももねさん» ももね様！リク消化ありがとうございます！もう好きすぎて言葉に表せないくらい好きです！ももね様！本当にありがとうございました！愛してます！ (2020年5月13日 22時) (レス) id: ed57538bc3 (このIDを非表示/違反報告)
ももね(プロフ) - 天真爛漫さん» ありがとうございます！天真爛漫さまのご希望に添えたなら幸いです。今後ともよろしくお願いします！ (2020年5月8日 10時) (レス) id: 2fa0c60296 (このIDを非表示/違反報告)
天真爛漫 - 作者様、素敵な作品を書くてくださり、ありがとうございました！！ (2020年5月6日 21時) (レス) id: 545c0410b5 (このIDを非表示/違反報告)
ももね(プロフ) - りんごさん» はじめまして！コメントありがとうございます。ありがとうございます…！好きなフレーズを題名にさせてもらいました！^^リクエスト承りました！執筆が完了次第投稿させていただきます。よろしくお願いします！ (2020年5月3日 23時) (レス) id: 2fa0c60296 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ももね | 作成日時：2020年4月13日 19時
