実験2回目 ページ2
部屋から出て階段を登る。この部屋は元々地下室だった。私は幼い頃に数式や化学に強く惹かれた。亡くなった母親が数学の教師を務めていたことによる影響であろう。当時2階の自部屋で化学の教科書をみながら激薬を作ってこっぴどく叱られたりもした。今度は褒められたくて自作のロボットを作ろうとしたが金属を打ち付ける音などによる騒音でやはり叱られた。それで音の響かない地下室でロボットを作ることにしたのだが自然と自部屋と化して今に至る、というわけだ。
「おはよう、お前また夜中まで作ってたのか？」
黒いタートルネックに亡くなった母との結婚指輪のネックレス、緑の髪をひとつにまとめたこの男こそ、我が父である。目が悪いらしく目のまわりにぐるぐると包帯を巻いている。朝日に弱い、と彼は言う。最初こそは不便極まりなさそうだと思っていたが特段、生活に支障をきたすことがないので大丈夫なのだろう。
「まあね、いいとこまで進んだよ。そういえばメリヤスは？」
造作もなくテーブルにつき、トーストをかじる。
「お前さんに合わせてられんだと言ってもう学校に行ったさ。こんな顔して」
父は両目を人差し指で釣り上げ怒ったような顔をした。
「メリヤスは私と違って朝方だからねぇ」
「おい、俺の変顔にはスルーかよ？そんでお前はもっと早く起きるように心がけろ？」
はぁ、と父はため息をついて紙を私にずいと出した。人の顔写真、犯罪歴、住所…などなどが詳細に書かれている。
「今日の獲物だ。時間は夜10時以降を狙う。ボロは出すなよ？」
「っはは！そんなの、誰が出すか」
ニヤリと右の口の端が上がる。そこにはその3人家族共通の吸血鬼である牙が見えたはずだ。
- 金 運: ★☆☆☆☆
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りな(プロフ) - 書き人知らずさん» ありがとうございます！そう言われると励みになります！これからも更新頑張ります！ (2018年5月19日 22時) (
レス) id: 00593af5f9 (このIDを非表示/違反報告)
書き人知らず(プロフ) - pixivsketchから飛んできました！拙い文なんかじゃないですよ。すごく面白いです。こちらでもpixivsketchでも絵や小説が更新されるのを楽しみにしていますね。 (2018年5月19日 22時) (レス) id: bdbb5f59e7 (このIDを非表示/違反報告)
りな(プロフ) - イメージソングは「不完全な処遇」でお送りします。(黙れ) (2018年5月9日 20時) (レス) id: 00593af5f9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りな | 作成日時：2018年5月9日 18時
