うるさいです先輩。

#22 ページ22

｢琴乃さんは直弥先輩のこと好きなんですか？｣

あまりにも驚きすぎておうむ返ししてしまった。

｢Aちゃん声大きいよ〜。
他の人に聞こえちゃうじゃん｣
しーっと顔を真っ赤にしながら口に人差し指をあてる。

｢うんうん、直弥かっこいいもんね。
わかるわかる｣

｢剛先輩しれっと会話に混ざらないでください｣

あっ、ばれたか〜という風に舌を出す剛先輩。
それをみた琴乃さんはあわてながら

｢えっ、剛先輩!?
このことは直弥先輩に内緒にしてください！｣
と必死にお願いする姿が可愛い。

｢大丈夫だってば〜。俺そんな酷いことしないよ〜。だって俺優しいからさ。
それより今日の放課後作戦会議しよ！
今日部活ないしね！｣

｢先輩が優しいかどうかはさておきその案は私も賛成です。琴乃さんの恋叶ってほしいですしね｣

Aちゃんひどいよ〜とか言ってる先輩は無視して、私は琴乃さんに
｢今日の放課後作戦会議しましょう？
あの駅前のおしゃれなカフェで。
もちろん剛先輩の奢りで｣
と優しく微笑みかける。

｢はい！
剛先輩ありがとうございます！｣

げっという顔をしつつ少しモゾモゾしたあと
｢え、Aちゃんに琴乃ちゃん俺奢るなんて一言も言ってないけど!?
はぁ……。まぁいっか。
Aちゃんがはじめて笑ったことだし。
俺がおごるから、じゃんじゃん飲んでいいよ｣

話もまとまり
｢じゃあ、あとでね〜｣
と教室をでていく剛先輩を横目で確認したあと
｢私お手洗いいってくるね｣
そう言って席を外す。

剛先輩、と呼び掛ければくるっと後ろを向いて
｢Aちゃん、どしたの？｣
と笑う。

｢剛先輩返事する前にモゾモゾしてたから今月ピンチなのかなって｣

私は財布から二千円とりだし
｢これで足りるかわかりませんがどうぞ
無理矢理奢らせることになってしまったので｣
と剛先輩に渡す。

｢では、また放課後に｣

｢ありがとね
今度お礼する｣

お礼なんてしなくてもいいと思いますけどね。
まぁ、言わないけどさ。

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