. ページ36
伸びやかで力強いボーカルチームの歌声。
イヤフォンから聞こえてくるそれは、以前と変わらなくて。
うまくいったんだな？と思うと、少し寂しくて。
でも…
SC『今なんつった？』
『…』
退院してから、１週間も仕事を休んでしまった。
骨折して仕事ができる状態でないから仕方ないことだけど、それは言い訳にしか過ぎなくて。
大量に送られてくるカトクからスンチョルの名前を引っ張り出して電話を掛ければ、スケジュールは大丈夫なの？と心配になるほどのスピードで自宅に駆けつけてくれた。
SC『今なんつった？』
『…』
SC『なんつったか聞いてんだよ。黙るな』
ソファに座ったまま黙り込む私を、立ったまま見下ろすスンチョル。
練習終わりだったのか、ジャージのままだ。
『......』
(検査の結果が出ました)
あの時、医者から言われた、一言。
私には衝撃的で、受け入れがたくて。
たくさん悩んだけど、スンチョルには話しておきたかった。
『検査の結果で、私の体内から
…睡眠薬の反応が出たの』
大きく見開く目。
ゴクリと、唾を飲み込む音が聞こえる。
SC『…どういう意味？』
『ね、わけわかんないよね？』
SC『なんか飲んだの？』
『その日は自販機で買った水と、
…冷蔵庫に入ってた栄養ドリンク飲んだだけ』
SC『栄養ドリンクって、いつも飲んでるやつ？』
『そう。いつも飲んでるやつ。でもさ、いつもと違ったんだよね』
SC『…？』
『なぜかさ、蓋開いてたんだ、その瓶』
SC『！』
急に、ガクガクと震える体。
医者の言葉が、頭にこびりついて、離れない。
『じ、じさ…つする人が、飲むレベルの濃さだったんだって』
SC『…』
『きっと、私が飲んだの、栄養ドリンクじゃ…なかった』
SC『…』
『でもね、冷蔵庫に１本しかなかったの。変だなって思ったけど…私っ』
震える声に、言葉に詰まる。
込み上げてきた思いが溢れ出して、視界がゆがんだ。
SC『怖かったな』
『…っ！』
ひざまずいて、私をギュッと抱きしめる、太い腕。
驚いて抵抗すれば、背中に回る腕の力が強くなった。
『や、スンチョル…っ』
SC『ごめんな』
『っ…』
SC『守ってやれなくて、ごめん』
優しい声に、涙が止まらなくて。
優しい手のひらに、安心しきって。
体がすっからかんになるまで、泣き明かしてしまった。
(ほら、ホットミルク)
(スンチョルが優しい…)
(いつもだろ)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2306人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Marine - ジスペン死にかけです…いや、というかすっごくいいです！好きです！みんなかっこよくて…！ (2019年6月23日 6時) (
レス) id: 3909a143f6 (このIDを非表示/違反報告)
ANA(プロフ) - きょうかさん» きょうか様。コメントありがとうございます！私的にジョッシュの顔面が大好きなので、キュンキュンさせてやろうと思います。笑 (2018年7月15日 19時) (レス) id: 9758bb3577 (このIDを非表示/違反報告)
ANA(プロフ) - きなこさん» きなこ様。コメントありがとうございます！ジスのターン始まりました！ぜひ最後までご覧いただけると嬉しいです！！ (2018年7月15日 19時) (レス) id: 9758bb3577 (このIDを非表示/違反報告)
きょうか(プロフ) - やばいです。この展開、、、最後のジスが笑これからも更新楽しみにしてます！ (2018年7月7日 1時) (レス) id: de8bd341cd (このIDを非表示/違反報告)
きなこ - 最後のジョシュアがかっこよすぎて、、 (2018年7月1日 19時) (レス) id: 6f49253a08 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ANA
| 作成日時：2018年6月16日 11時
