キミの一番近くで【御幸一也】 (ページ32)

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ーーピピピピッ……カチッ

目覚まし時計を止めてのっそりと身体を起こす

「……はぁー…」

目を閉じれば、あの柔らかな感触が蘇ってきて
心臓は激しく波打ち、結局一睡もできなかった

本当に、御幸くんとキスしちゃったんだ…。
夢、じゃないよね？

恥ずかしくて嬉しい反面
御幸くんがどんな想いで私にキスをしたのか

実際に本人から聞いたわけではないから
もし、熱のせいで…なんてことだったら
自分は立ち直れるだろうか…？と不安になる

でも、キスの後

『俺が、好きなのは…』

倒れちゃったから
最後まで聞くことは出来なかったけど
確かに御幸くんは私に伝えようとしてくれた

御幸くんの好きな人が

私、だったら…

だけど

御幸くんは、一目惚れで
５年もずっと好きな人がいると言った

なら、私である可能性は低くなる

いろんな可能性が頭の中をぐるぐる回って
混乱してきた

「……学校行く準備しよ…」

考えても、答えは見えてこない。

直接、御幸くんの口から聞くしか
本当のことはわからないんだと思い直し

私はモヤモヤを振り払うように
頭を振って洗面所に向かった

正門を抜け、校舎に入り教室に着けば

「おーっす」

いつものように倉持くんが挨拶をしてくれる

「おはよ、倉持くん！…あれ？御幸くんは？」

毎朝、私より早く来ているはずの御幸くんの姿が
今日は見当たらない

「…まだ熱下がらないの？」

「微熱程度でたいぶ下がったけど
昨日ぶっ倒れたからよ、今日は念のため休み」

「そっか…」

心のどこかでホッとする自分がいることに
驚いてしまう私を見て

「御幸が休みで安心したか？」

倉持くんはすかさず指摘してきた

「いっ、いや、そんなことないよ…？」

倉持くんの言葉にあからさまに動揺してしまう

「アイツは会いたがってたけどな、深沢に」

「えっ、御幸くんが？」

「ああ。今朝も学校行くっつって駄々をこねる御幸の相手するの大変だったんだからな」

御幸くんが…私に、会いたがってた…。

それが本当なら…

どうしよ…。

嬉しすぎてにやけが止まらない。

「お前ら見てるとよ、やっぱイライラするわ…」

「どして！？」

「どうしてもだよ！！」

倉持くんはそう言って私の緩んだ頬をつねった

「いひゃいよ！」

「ヒャハハッ！日頃のお返しだと思え！
…放課後、御幸んとこ行ってやれ。
多分、お前のこと待ってると思うぜ？」

「…うん」

頷けば倉持くんは手を放してくれた