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# 15 ページ15

*



お互いが謝り合っていると


「…あの、御幸先輩。僕は先に行ってますから
後で球受けてください」


降谷くんはそれだけ言って
ペコっと私に頭を下げると背を向けて寮の方へ帰ってしまった



「私、完全にお邪魔だったよね…?」

「んなことねーよ。気にすんな?
それより、俺に何か用があるんじゃない?」



そう言われて、私はジャージのポケットから
河合さんから預かった便箋を取り出し

御幸くんへ差し出す



「…えっ…あ、なにコレ?」


珍しく戸惑った様子を見せる御幸くんに


「河合さんから御幸くんに渡してって頼まれて…」


そう言えば、御幸くんは目を瞬かせると
何故か口を尖らせながら

私から便箋を受け取ると
その場で開封し、中身を確認する



「…Aちゃんはいいの?」


あからさまに不機嫌な顔をする御幸くんが私に問う


「え?なにが…?」


質問に問い返してしまうと
御幸くんはじっと私を見つめた


「俺が河合さんと仲良くなってもいいの?」



一瞬脳裏にある言葉が過って
私は言葉を呑み込んだ


「えっ…と…」


視線を落とし他に言葉を探していると
御幸くんは少し困ったように小さく笑った



「なーんて、冗談だよ。
さて。…降谷待ってるからそろそろ行くな?」

「うん」



なんでこの言葉が浮かんだのかわからないけど

【嫌だ】なんて、言えるわけがない。



私はしばらく
小さくなっていく御幸くんの背中を眺めていた








「こら。またボーっとしてる」


声が耳に届くと同時に
コツンっとバットの先を額に軽く当てられた


「さすがの俺も怒るよ?」


そう言いながらの亮介さんの笑みほど
怖いものはないと身体が硬直する



私は今朝のお約束で、1時間程度
亮介さんのネットティーに付き合っていた



「スミマセン…」


肩をすぼめ謝ると
亮介さんは呆れたように息を吐いた



「そんな泣きそうな顔されるとさ
何も言えなくなるし、俺が悪いみたいじゃない?」

「え、私そんな顔してますか!?」


頰に手を当てて尋ねると
亮介さんに「してる」と即答されてしまう



「何か悩みがあるなら聞いてあげなくもないけど?」

「…御幸くんってモテますよね」

「やっぱり御幸のことなんだ?」

「 “ やっぱり ” ってどういうことですか?!」

「別に?何となく思ってただけだよ」



意味深な笑みを浮かべる亮介さんに
私は促されるがまま

放課後あったこと、さっき御幸くんに言われたこと
そして自分の感じた思いを呟いた

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設定タグ:ダイヤのA , 御幸一也   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:あんず | 作成日時:2015年3月29日 2時

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