絶対に恋なんかしない。【Sho】

頭おかしい。 ページ3

「嘘じゃないよ。

自分に置き換えて考えてみてよ、平野は好きでもない子にハグされて嬉しい？」

私がそう言うと、斜め上を見ながら考えた後、

『ん〜、確かに嬉しくはない…かな』

シュンとしながら私を見つめて言った平野。

「じゃあ、私はそろそろ…」

平野が納得してくれた様子だったので、私がさりげなくその場を離れようとすると、

『ちょっと待って!!』

と、腕を捕まれて引っ張られてしまった。

「まだ何か？」

『名前教えて？』

「は？何で？意味わかんないから」

『いやいや、わかるじゃん!!

俺はちゃんと名乗ったのに、そっちだけ名乗らないなんてズルいでしょ!!』

もう、何なのこの人。絶対に頭おかしい。

あ、そっか。平野は頭おかしい人だったわ笑

「別に平野の事は名乗らなくても知ってたから、全然ズルくないよ？」

私がそう言えば、口を尖らせて私を見つめる平野。

何なんだよその顔は。ちょっと可愛いけど。

『あ、じゃあわかった!!

さっきのお詫びに好きな人連れてくるから、その為に名前と連絡先教えて!!』

いやいやいやいや。

私の為のお詫びのはずなのに、何か教えて欲しい事が増えてるんだが。

平野、絶対ヤバい奴じゃん。

私はどうしたら、この最悪な状況を切り抜けられるんだろうか。

終わりの見えない平野とのやりとりに、私が大きなため息を吐いた時、

『紫耀さ〜、ナンパすんの下手すぎじゃない？笑』

どこかで聞いた事のある声がして、思わず後ろを振り返れば、

やっぱり見覚えのある顔の人物が、私を見つめて微笑んでいた。

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