絶対に恋なんかしない。【Sho】

知ってる。 ページ2

『あ、もしかしてボクの事知りませんか？』

私がイヤ〜な顔で見つめていたからか、サングラスを少しずらしながら言った。

あー、知ってる。しかもよーく知ってる。

だって私、同じグループに推しが居るもん。

「あ、平野…」

私がしれっと呼び捨てしたのに、大して気にならなかったのか、

『そうそう!!俺、平野紫耀!!

何だよ〜、俺の事知ってるんじゃん!!』

自分の事を知っているとわかった途端、急にパァっと笑顔になった平野。

知ってるけど。でも、だから何だっつーの？

さっきまでボクとか言ってたくせに、急に俺とか言い出してさ。

キャラ変しすぎなんですけど。

まさかこんなところでジャニーズに遭遇するなんてなぁ。

しかも、突然喧嘩を売られるという有り難くない遭遇の仕方だし。

何だか頭が痛くなってきたわ。

「あのさ、私もう帰っていいかな？」

『え、何で？』

いやいや、逆に何でってどういう事よ。

「突然失礼な事をしておいて、謝る気も無い人とこれ以上一緒に居たくないんですけど」

私が正論をぶちかますと、平野は思い出したように申し訳ない顔になった。

『あ、さっきは本当にごめんなさい!!』

そう言って深く頭を下げる平野を見て、芸能人も大変だなと思った。

「まぁ勘違いしちゃう事もあるよね。
でも、関係ない人に喧嘩売っちゃダメだよ？」

私が苦笑いでアドバイスすると、平野が突然私を抱きしめた。

『ありがとっ!!そう言ってくれて嬉しい!!』

「何よ、今度はセクハラ？」

『え、何言ってんの、違う違う!!さっきのお詫びと今の感謝のハグじゃん!!

だって、俺にハグされたら嬉しいでしょ？笑』

そう言いながら、ニヤニヤして私を見つめてくる平野。

「いや、全然嬉しくないし、好きでもない男が抱きしめてきたら普通にセクハラだわ」

私が冷静にそう言うと、平野はビックリした顔で私を見た。

『え、ねぇ、嬉しくないとか嘘でしょ………』

何かめちゃめちゃショック受けたって顔してるけど、そんなん知らんがな。

とりあえず私、一刻も早く帰りたいんだが。

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