入った会社の先輩達が全員イケメンなんて聞いてない!!【Sho】

呼び方の提案。 ページ7

あれから菊池さんは、ほぼ毎朝迎えに来て、帰りもタイミングを合わせて帰ってくれるようになった。

最初は座るだけで緊張していた、菊池さんの助手席にもだいぶ慣れ始めていたある日の朝、

菊池さんがハンドルを握りながら、

風「俺ずっと思ってたんだけどさ、菊池さんて呼び方、何か堅くない？」

と言い出した。

「いやいや、逆にそれ以外あります？
あ、課長とか役職で呼ばれる方が嬉しいですか？笑」

私が少し笑いながら言うと、

風「あー、課長はぜってー嫌だわ」

と本気で嫌そうな顔で言ってから、

風「風磨くん」

と一言だけ言って私を見つめる菊池さん。

「え？何ですか急に」

風「俺の事、風磨くんて呼んでよ」

「いやいや、それは無理ですって！」

風「何でだよー
うちの後輩達、みんな風磨くんて呼んでるだろ」

「それはそうですけど、私は無理ですよー」

風「俺、風磨くんて呼んでくれなきゃ返事しねーからな笑」

会社に着いてからは普通に仕事をこなしていて、朝の会話なんてすっかり忘れていた夕方。

菊池さんが営業から帰ってきたので、

「菊池さん、報告書一ページ抜けてましたよ？」

と話しかけると無視された。

あれ？聞こえてなかったかな、そう思って菊池さんを見ると、目が合った。

そして、私に向かって口パクで、

ふ、う、ま、く、ん、と言ってニヤリと笑った。

え、まさか、朝のあれは本気だったの？

「風磨くん、ここ一ページ抜けてました！」

仕方なく腹をくくって風磨くん呼びをすると、

風「なぁに、A」

とニヤニヤしなから返事をしてくれた。

いや、ちょっと待って。

今、私の事、Aって呼び捨てしたよね？

え、何でそうなった。

私が一人でパニクっていると、

紫「え？今の何？
Aさん、風磨くんて呼んでるし、風磨くんは名前呼び捨てしてるんだけど!!」

と、隣の席の平野さんが叫んだ。

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