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何も言わずにいると、彼は静かに言葉を漏らす。
「すまない…急に、こんな」
一体、彼はどんな表情をしているんだろう。
振り返ることも出来ないけど、ただ今は。
自分の思っていることを素直に伝えるべきだと思った。
「安室さんが…降谷さんが、こうして私に素で接してくれて嬉しいですよ」
「…っ！」
だから、謝らないでください…と言う。
彼は、息を詰めたかと思うと長く息を吐き出した。
そして、フッと諦めたかのように笑う。
「ほんと、敵わないな。Aさんには」
「降谷さんだけには言われたくないですよ」
抱き締められていた腕を緩められて、お互いに向き合う。目が合うと、二人して吹き出した。
降谷さんと呼べる日が来るなんて、思ってもみなかったな。
もう、会えなくなるまでずっと、安室さんとして接していくのだと思っていたから。
彼はふわりと笑みを浮かべると、ある事を言い出した。
「……A、って呼ぶから。キミも俺のことは零って呼んでくれ」
「えぇっ！？待ってください……そんな、急に！」
本当に、唐突で無茶振りだ。
10歳近く上の人を呼び捨てにできるはずがない。
「せめて、零さん…で」
「っ、まあ、それでいいだろう」
そんなすぐに私が呼ぶと思っていなかったのか、口元を手で押さえて隠している。
ほんの僅かに、赤みを帯びているような。
…照れているのかもしれない。
「ふふっ。それより、良いんですか？私に名前で呼ばせて」
「いや…良くない。だから二人の時だけに頼みたいんだ」
良くない、と……まあそれもそうだろう。
彼の正体を知っている人は、この世界にはひと握りにも満たないのだから。
面倒な気持ちも無い訳では無いが、そんなリスクを背負ってまでも私に呼んでもらいたいのだと思うと可愛く見えた。
「二人だけの秘密…ってやつですね」
「ふっ、あぁ。そうだな」
俺とAだけの秘密だ、と頭を撫でられる。
安室さんより零さんの方が糖度が高い気がする。
なんだか、ストッパーのようなものが外れたような…
ふと、視線が交わって。
彼の端正な顔が、ゆっくりと降りてくる。
私の心臓はバクバクで、どうしていいか分からなくて。
そんな事を脳内で巡らせているうちにも、彼の手によって私の頭は捕まえられる。
もう、受け入れてしまう他ない。
そう思って目を瞑ろうとしたら…
「っ！」
携帯の着信が鳴り、咄嗟に私達は離れた。
ディスプレイの表示は、阿笠博士だった。
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天桜＊(プロフ) - キリさん» はじめまして！コメントありがとうございます！！そうなんですか！嬉しいです〜！これから続編なのでそちらもよろしくお願いします！ (2019年7月13日 18時) (
レス) id: 4b54fd1f63 (このIDを非表示/違反報告)
キリ(プロフ) - はじめまして！とても面白くて一気に読んでしまいました！これからも応援しています！ (2019年7月13日 17時) (レス) id: c2c9e9fdb1 (このIDを非表示/違反報告)
天桜＊(プロフ) - 結さん» コメントありがとうございます！そういう事です〜！！ (2019年7月8日 20時) (レス) id: 4b54fd1f63 (このIDを非表示/違反報告)
結(プロフ) - 質問なんですけど、これ目暮警部もトリップしてるってことですか？ (2019年7月8日 12時) (レス) id: f755b3d80f (このIDを非表示/違反報告)
天桜＊(プロフ) - ピースサインさん» コメントありがとうございます！私もそれを狙っていたので喜んでいただけて良かったです〜！！頑張ります！！ (2019年6月7日 22時) (レス) id: 4b54fd1f63 (このIDを非表示/違反報告)
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