FILE.31 ページ32
.
私たちは何も言えずに口を
気を取り直して私たちを再び視界に捉えると、事件に欠かせないそれを問うた。
「…では、とりあえず犯行時刻である3時半に何をしていたかお教え願えますか？」
まずは左端の園長先生から、と。
園長先生はえーと、と斜め上の方向を見ながら話し出した。
「私は今2つのクラスがお世話になっている老人介護施設の方へ、子供たちの様子を見に行っていました……」
「ほう、老人介護施設ですか？」
目暮警部の言葉に、「毎週月曜日にこの幼稚園から2クラス、遊びに行っているんです」と答える。
その施設は、この幼稚園から車で10分くらいの所にあるらしい。警察の方が、その施設の方へ電話すると園長先生との接触が確認できた。
事件発生時に現場との距離があるため基本的に犯行は不可能である。
つまり、園長先生のアリバイは成立したと言える。
目暮警部はうむ、と小さく唸ると「園長先生の犯行は不可能だな……」と呟いた。
「では次に、佐伯さん。貴方は何を？」
「僕は…この部屋で子供たちを寝かしつけていたら、寝てしまっていました」
不安そうな表情をする佐伯先生。
それもそうだ、事件発生時に事件現場にいたのだから。犯人と疑われてしまっても無理はない、そんな状況だ。
「それを証明する者は？」
「えっと……あ！A先生です！」
ですよね？と切羽詰まったように同意を求められて、反射的に頷いた。
「Aさんも現場に居たんですか……」と、眉を顰めて考え込む。そんな目暮警部に、私は苦笑を漏らした。
「まあ、いいでしょう。次に早田さんですね」
目暮警部の視線が、私の隣の早田先生に向く。
彼女は組んだ指先を見つめながら、口を開いた。
「私は、職員室で書類の整理をしていました。
整理した書類の束ならありますけどね、と乾いた笑みを漏らした。
それが、アリバイの立証にはなんの役にも立たないことを知っているのだろう。
「それでは、最後にAさん」
ついに、私の番が来た。
ずっと、他の人のことばかりで自分のことなんて何ひとつ考えてもいなかった。
「私は…佐伯先生と同じで子供たちを寝かしつけていました」
「確か、第一発見者は貴女でしたよね？」
「はい、そうです」
自分が、犯人に陥れられているなんて思いもせずに。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 529人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
天桜＊(プロフ) - キリさん» はじめまして！コメントありがとうございます！！そうなんですか！嬉しいです〜！これから続編なのでそちらもよろしくお願いします！ (2019年7月13日 18時) (
レス) id: 4b54fd1f63 (このIDを非表示/違反報告)
キリ(プロフ) - はじめまして！とても面白くて一気に読んでしまいました！これからも応援しています！ (2019年7月13日 17時) (レス) id: c2c9e9fdb1 (このIDを非表示/違反報告)
天桜＊(プロフ) - 結さん» コメントありがとうございます！そういう事です〜！！ (2019年7月8日 20時) (レス) id: 4b54fd1f63 (このIDを非表示/違反報告)
結(プロフ) - 質問なんですけど、これ目暮警部もトリップしてるってことですか？ (2019年7月8日 12時) (レス) id: f755b3d80f (このIDを非表示/違反報告)
天桜＊(プロフ) - ピースサインさん» コメントありがとうございます！私もそれを狙っていたので喜んでいただけて良かったです〜！！頑張ります！！ (2019年6月7日 22時) (レス) id: 4b54fd1f63 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
