FILE.29 ページ30
.
暗い部屋の中で、子供たちを寝かしつけていたら私までうとうとしてしまっていた。
小さく流していたオルゴールの中に、微かな物音が混じる。皆寝ているはずなのに、と上手く働かない頭で考えた。
不法侵入者が居たら放っておく訳にはいかない。
どうやら佐伯先生も子供たちと寝てしまっているようだし、早田先生もどこに行ってしまったのか、居ない。
私が見るしかないと思い、確認するために重たい体を起こして辺りを見渡す。すると隅の方に小さな後ろ姿が見えた。
皆を起こさないように、そっと立ち上がって傍による。
「……りおくん？寝ないの？」
「…っ！」
小さな声で話しかけると、肩を震わせてこちらを向いた。その手には何か握られていて。
どうやら戦隊モノの人形で遊んでいたようだ。
「……眠れない…」
「そうなの？じゃあ眠れるまでトントンしててあげるから先生と寝よ？」
不安そうに呟く彼の手からそっと人形をとる。
私の言葉に小さく頷くと、手を引いて布団に寝かせてあげた。
子供は体をトントンしてもらうのが好きみたいだ。鼓動とほぼ同じペースで叩くからか、安心するのだろう。
眠れない、と不安そうにしていた割にすぐにうとうと目を閉じ始めていた。
「おやすみ…りおくん」
りおくんは私の言葉を聞くと、目を瞑った。
すぅすぅと寝息を立てている様子を見て、私はその場を離れようと立ち上がる。
何か今の間にするべき仕事があるかもしれない。
早田先生を探そうと、ドアの方へ向かおうとしたその時。
「っ、うっ…あ…ぐ」
背後で、苦しそうな呻き声が聞こえた。
振り向けば、さっき寝たはずのりおくんが苦しそうに顔を歪めていて。
「りおくん！？！」
慌てて駆け寄れば、口もとからアーモンド臭が漂う。アーモンド臭と言えば、『名探偵コナン』ではお馴染みの青酸カリだ。
明らかな毒物反応を確認し、ポケットに入れていた携帯を取り出して、救急車と警察に連絡をする。
連絡した後で、佐伯先生を起こして園長先生や早田先生にも連絡を入れた。
安全を考慮し、子供達も帰ってもらうことにした。
どうして、りおくんが。
さっきまで私と話していたのに。
私がすぐそばにいたのに、毒を盛られるなんて。
この状況を受け入れられない。
私は騒然とする中、
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 529人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
天桜＊(プロフ) - キリさん» はじめまして！コメントありがとうございます！！そうなんですか！嬉しいです〜！これから続編なのでそちらもよろしくお願いします！ (2019年7月13日 18時) (
レス) id: 4b54fd1f63 (このIDを非表示/違反報告)
キリ(プロフ) - はじめまして！とても面白くて一気に読んでしまいました！これからも応援しています！ (2019年7月13日 17時) (レス) id: c2c9e9fdb1 (このIDを非表示/違反報告)
天桜＊(プロフ) - 結さん» コメントありがとうございます！そういう事です〜！！ (2019年7月8日 20時) (レス) id: 4b54fd1f63 (このIDを非表示/違反報告)
結(プロフ) - 質問なんですけど、これ目暮警部もトリップしてるってことですか？ (2019年7月8日 12時) (レス) id: f755b3d80f (このIDを非表示/違反報告)
天桜＊(プロフ) - ピースサインさん» コメントありがとうございます！私もそれを狙っていたので喜んでいただけて良かったです〜！！頑張ります！！ (2019年6月7日 22時) (レス) id: 4b54fd1f63 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
