先生とぼく (ページ26)

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『やめんなよっ！！！』

光の声が何度も何度も脳内で繰り返される。
行くな、辞めるなと言った光の顔は今まで見たことない必死で。

いつから気付いてたんだろう。
誰にも言ってないのに。

「…ぶ、やぶ…」

「薮っ！」

ハッと意識が戻される。
顔を上げて辺りを見渡せばそこは教室で。
目の前には心配そうな顔をした相葉先生。

「ごめんね、そろそろ時間だから起こしちゃった。」

「あ…いえ…。」

補講までの時間、先生を待ってる間に光のことを考えていたらうたた寝をしてしまっていたらしい。

最近ツアーを始め仕事関連と勉強でろくに休めていなかったから身体が疲れていたようだ。

「もーっ！またそんな顔して！」

ムニッと先生と大きくて細い手に両頬を挟まれた。おかげで口はタコのように突き出ている事だろう。

「まーたなんか悩んでるでしょ！
ったく、そんな悩んでると禿げるよ！」

「ひゃ、い…。しゅいません…」

「学校の事でも仕事の事でもプライベートの事でもなんでもいいの。悩みがあるなら相談していいんだよ？もちろんただの愚痴だって聞くから！何回も言ってるでしょーが！」

なんで先生は他人の俺にこんなに優しいんだろう。面倒な生徒なのに。

気づいたら悩みを打ち明けている自分がいた。