やわらかな午後に遅い朝食を【短編集】 (ページ26)

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酔っぱらいのホンネ * Koji.M ページ26

｢こーじーーー｣

玄関で俺の名前を大きめの声で呼んでいるのは俺の彼女のA(酔っぱらいver.)。

今日仕事が早めに終わったから彼女の家に帰ろうと思い、その道中彼女に電話すると｢いいけど、夜学生時代の友達と飲み会なの｣と告げられた。

たしかに今日は金曜日、世間で言うところの｢華金｣というやつだ。最近は｢プレミアムフライデー｣なんて小洒落た言い方をしたりもしてるやつ。何年か前に兄さんたちがCMやってたな。

飲み会とかって聞くと、彼女と生きてる世界が違うことに気付かされる。きっと大衆的な居酒屋で、大人数でワイワイやってるんだろう。俺が今まで経験した大人数参加する打ち上げは、どこか会場を貸し切ったりしてやるものだった。どっちが上とかどっちが良いとかじゃなく、どちらにしても同じ場に居合わせる想像はまるでつかないという意味で、生きてる世界が違う。まあ、こうして自分のところに帰ってきてくれるだけで十分だけど。

解散したとの連絡を受け、迎えにいこか？と聞いたが、友達とタクシー乗った！と一蹴。待つこと20分、酔っぱらい彼女のご帰宅。

康｢ほら、そんな大きい声出したあかんよ、近所迷惑なるて。｣

｢あは、こーじ～｣

康｢そやで康二やで～。てかただいまくらい言いや｣

オカンみたいなことを言いながらもなだれ込んでくる彼女を抱きとめる。ふわっとアルコールの匂いが鼻をかすめた。思ってたよりも酔っぱらってるなこれは。

｢ただいま！｣

ぱっと顔を上げてにこにこしながら言う彼女。少し赤くなった頬にこれでもかと垂れた目尻。お酒が入った彼女はいつもより上機嫌で幼くなる。

康｢、おかえり。｣

おかえりをもらって満足したのか、俺の横をすり抜けてリビングのソファーにダイブ。膝丈のスカートの後ろの切れたとこ、なんてゆうの？そこがピラッとめくれてる。｢パンツ見えそ｣って言ったら黙ってスカートを撫でつけて直してた。そういうとこはしっかりしてるんやな、と妙に感心する。