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*

 そこにいたのは、井吹や平助、斎藤とそう歳は変わらないくらいの青年だった。
 彼は、刀を右差しにしていた。

 ――右差し、流行ってるのか……?

 一瞬、場違いな考えが頭に浮かんだ。

 「その喧嘩、私が相手しよう」

 彼が宣言した。
 少し高めだが、深みのある声だった。

 「貴様がか?」

 「如何にも」

 せせら笑う浪士に、彼は動じない。
 すらりと抜刀した。

 「何処からでもかかって来い」

 続いたその言葉は、浪士の怒りに火をつけた。

 「……この青二才がぁ!」

 浪士は刀を振りかぶるが。

 「――甘い」

 ガキィンと音がして、刀がぶつかり合う。
 青年はそのまま、浪士の鳩尾を蹴りつけた。

 「ぐはっ……」

 浪士が膝から崩れ落ちる。

 「貴様ッ……」
 
 青年の身体が翻り、続いて、残りの二人も崩れ落ちる。

 「安心しろ、峰打ちだ。直ぐに医者に診せれば問題なかろう」

 刀を鞘に収めながら、青年は浪士たちに向かって云った。

 「お、覚えてろよ!」

 浪士たちは、捨て台詞を吐きながら去っていった。
 後には、巾着が残されていた。

 青年は巾着を拾うと、町人の子供に云った。

 「手を出せ」

 男の子がおそるおそる手を出すと、その小さな手の上に巾着がおかれた。
 次いで、青年の手が男の子の頭をポンポンと撫でる。

 「さっきの言葉は、良かった」

 町人は、青年の手が子供から離れたと思いきや、そのまま子供を連れて逃げていってしまった。
 青年は肩を竦めると、井吹に振り返る。

 「あんた、大丈夫か」

 「あ、ああ……」

 「りゅうのすけぇ〜!」

 その時、聞き覚えのある声がした。
 向こうから、藤堂、永倉、原田が走って来るところだった。

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Chris(プロフ) - ファーストMeさん» わーいありがとうございます! こっちの作品も神様ネタありますから、待ってて下さい! (。>ω<。)ノ (2017年6月15日 13時) (レス) id: c0c9efb09c (このIDを非表示/違反報告)
ファーストMe - “刀と共に生きてきました”から来ました!この作品も凄く良かったです!!更新待ってます!! (2017年6月15日 13時) (レス) id: d48a818a0f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Chris | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/chrisinfo/  
作成日時:2017年5月23日 0時

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