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二、三年前のこと。
「たのもう!」
試衛館の前に、一人の青年が立った。
名を、斎藤一という。
彼は迷わず、最も強い者に試合を申し込む。
その相手となったのが、沖田総司だった。
その場に居合わせたのが、原田、藤堂、永倉で、三人が見守る中、試合は白熱した。
終わった直後、騒ぎを聞きつけて来ていた近藤と土方がその腕を褒めた。
褒められた当人が最初に発した言葉は、こうだった。
「俺は、左構えですが」
近藤はその時初めて、彼が左手に木刀を持っていることに気づいたらしい。
それまで斎藤は、左構えだというだけで偏見を受けてきた。
それだけに、剣の腕のみを評価してくれた彼らは、大切な存在となったのだ。
その後彼は試衛館に通うようになった。
試衛館で修業を積み重ね、腕はやはり沖田と互角である。
彼がぱったりと来なくなったのは、本当に前触れもなくだった。
何の連絡も、前兆もなく、突然来なくなったのだ。
試衛館の面々がその理由を知ることは終ぞないのだが、訳は簡単だった。
彼はある旗本と諍いを起こし、相手を斬ってしまったのである。
家に迷惑がかかることを恐れた彼は、江戸を逐電し、訳ありの妹と共に身をひそめるようになった。
この妹のことについては、また後ほど詳しく語られることになろう。
「そいつは、信用に足る奴なんだろうな?」
「はい。……そしてもしよろしければ、その者は俺の小姓として参加させて頂きたい」
「お前の」
さっきから驚かされてばかりだ、と土方は思った。
自分が面倒を見ている者を、参加させてほしい。
……しかも、"自分の"小姓として。
はっきり云って、おかしな話だ。
だが、土方は斎藤が云う者に興味を持った。
――危ねえ橋を渡っとくのも、悪かねえかもな。
「取り敢えず、そいつを後で連れて来てくれ。……会ってから決める」
「分かりました」
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Chris(プロフ) - ファーストMeさん» わーいありがとうございます! こっちの作品も神様ネタありますから、待ってて下さい! (。>ω<。)ノ (2017年6月15日 13時) (レス) id: c0c9efb09c (このIDを非表示/違反報告)
ファーストMe - “刀と共に生きてきました”から来ました!この作品も凄く良かったです!!更新待ってます!! (2017年6月15日 13時) (レス) id: d48a818a0f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Chris | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/chrisinfo/
作成日時:2017年5月23日 0時